厳しい外出制限のドイツで際立つ「森」の存在 健康維持という課題にどう向き合えばいいか

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森をジョギング。最後の「運動空間」だ(筆者撮影)

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、全国で緊急事態宣言が出された日本。外出を控えることで、必然的に自宅で過ごす時間が増えるが、次に出てくるのが心身の健康維持だ。ドイツは3月22日より外出制限をかけたが、散歩やジョギングは可能。そのとき、森の価値が大きく見えてきた。

罰則付きの外出制限

ドイツの外出制限は4月20日からやや緩和されたものの、5月3日まで実施される。3月に外出制限がかかったときに出された条件は、同居家族など以外の他人との接触は絶対に必要な最低限にし、公共空間においては他人と1.5m、できれば2m以上とるという具合だ。しかし食料品の購入、通院など、「十分に説得力のある理由」での外出は認められた。その中には個人によるスポーツや散歩も入っていた。

また、これに伴い警察などが監視を行い、場合によっては罰則も課せられる。ドイツの人々は普段、権力のコントロールを嫌う。そのせいか、交通違反などの取り締まりなども、日本に比べると少ない。そういう感覚からいえば、警察が外出に関する監視をするというのはかなり厳しい。

社会活動が制限されてくるのは戦争中の戒厳令を思わせる。しかし、他国との戦闘状態ではない。あくまでも新型コロナウイルスの感染を抑制するたの制限だ。まさに「爆弾が落ちてこない戦争」である。

外出制限で、公共空間では人は1.5m以上の距離をとることになった(筆者撮影)

3月半ばまでは、ドイツ国内のスポーツ活動は通常どおりに行われていた。地域に密着した市民のスポーツ拠点「スポーツクラブ」がかなりあるが、ここでも毎日、老若男女がサッカー、テニス、器械体操など、さまざまなスポーツを楽しんでいた。

しかし、3月16日以降すべてのスポーツの活動が停止。学校や幼稚園も閉鎖される。だがこの時点ではまだ、小さな子どもたちが公園で遊んでいた。

ところで、ドイツの都市を見ると、公園がかなりたくさんある。筆者は昨年、日本へ帰国したときに、ある地方で子育て中のお母さんたちの話を聞く機会があった。そこで聞いた悩みは自動車を飛ばして行かねば子どもたちを遊ばせるようなところが少ない、というものだった。

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