三陽商会、新社長が語る「万年赤字」の根本原因 投資ファンドとの委任状争奪戦にどう挑む?

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――RMBキャピタルは5月の株主総会に向けて、マッキンゼー出身の小森哲郎氏の社長選任などを求める株主提案を行いました。これに対し、三陽商会は株主提案に反対する方針を表明しています。

現社長の中山によると、RMBと当社は数年前からIRミーティングを行ってきた。先方は、当社やアパレル業界のことを深く知ろうと工場見学に行ったこともある。それが2019年12月にいきなり書簡が送られてきて、「身売り(を検討すべき)」などといった過激な内容の提案も当初はあった(*編集部注:今回の提案には含まれていない)。

われわれの考えは、まず再生プランがあり、そのプランを遂行するための執行体制と、ガバナンス体制としてはこのメンバーが最適だという主張だ。それに対してRMBの提案には(役員を推挙する前提となる)プランがなく、われわれの立てた再生プランに対する対案や意見も特にない。

提案された取締役候補者の中には、私や現任の社外取締役の名前が入っているが、再生プランの提案もないのになぜこのような提案になるのか、意図が理解できない。反対せざるをえない。

大株主の理解は十分に得られてる

――RMBは、中山現社長が取締役を留任することに強く反対しています。取締役会メンバーに、中山現社長は必要なのでしょうか。

そりゃそうですよ。プランをずっと一緒に作ってきて、実行段階に入っている。私と中山、加藤がスリートップとして、現場との意思疎通を進めてきている。中山はこれまで役員として務めてきて、業績悪化に対する経営責任があると言われるが、考えるべきは過去よりもこれからどうするかだ。それに対してあまりディスターバンス(妨害)は入れてほしくないというのが率直なところだ。

――三井物産や八木通商などほかの大株主の反応は?

そういったステークホルダーに対しては、再生プランの策定段階から相当きめ細かく報告をしている。(再生プランの推進に)非常に理解していただき、エールもいただいている。いわゆるシェアホルダーの方々の理解は、十分に得られていると判断している。

――株主総会で委任状争奪戦となった場合、会社提案で過半数を取れる手応えはあると。

それは株主がどう判断するか次第で予測できないが、取れると思っている。なぜかと言うと、われわれは再生プランを作って、そのプランを遂行するためにこの体制がベストだと言っている。それに対してRMBの提案にはプランがない。ただ単に役員の提案だけがあっても、比較する論点がない状況だ。

――たとえ今回の株主提案は通らなかったとしても、この先独立資本のままで生き残っていけますか。

いま現実に計画を持っているわけではないが、中長期に考えた場合、資本対策を考えていく可能性はある。そういうことも選択肢の1つ、あるいは将来的な課題として、検討する必要はあるかもしれない。

――必ずしも独立経営にこだわるわけではない、ということですか。

新型コロナの影響が長引いて、いまのマーケットの構造や消費者の購買行動が大きく変わった場合、新しい環境に基づいて資本政策を考えなければならない局面はあるかもしれない。ただし、これは一般論であり、当社に限らず、すべての会社がそうだろう。当社としてそうしなければならないということは、今の時点ではない。

真城 愛弓 東洋経済 記者

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まき あゆみ / Ayumi Maki

東京都出身。通信社を経て2016年東洋経済新報社入社。建設、不動産、アパレル・専門店などの業界取材を経験。2021年4月よりニュース記事などの編集を担当。

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