三陽商会、「バーバリーなし」の苦しい前途 上方修正でも通期で減収減益、不安も顕在化
今年6月、三陽商会は約半世紀に渡って保持してきた英国ブランド「バーバリー」の製造・国内販売ライセンスを失った。同ブランドは、三陽の売上高の半分以上を占めるとされる。今2015年12月期の中間決算(2015年1月~6月)は、バーバリー販売が含まれる最後の中間決算で、その内容に注目が集まった。
結果は、売上高が前期比3.9%増の553億円、営業利益は同71.7%増の77億5400万円。期初計画比でもそれぞれ8.9%増、158.4%増と、好調だった。
が、その内訳を見ると、素直に喜ぶことはできない。業績を急拡大させた理由のほとんどは、三陽が今後販売することのできない、好採算のバーバリーの駆け込み消費だったからだ。
バーバリー以外のブランドは苦戦
今年7月以降、日本におけるバーバリーの販売は、英バーバリー本社が本腰を入れて手掛けることになる。本社のバーバリーと三陽のバーバリーは、中身も価格も別物だ。バーバリーを象徴する商品であるトレンチコートを例に取ると、本社の商品は英国の職人が1年かけて技術を取得した後に手縫いをしている。価格は標準タイプで、本社のトレンチコートは20万円台前半、三陽の商品は10万円台前半だ。
ただ、日本には、リーズナブルな三陽のバーバリーを好むファンも多い。それが買えなくなる前に買っておこうとする動きにつながったわけだ。だが、その陰で不安視されるのが、バーバリー以外の基幹7ブランドの販売不振である。
三陽商会は「マッキントッシュフィロソフィー」、「ポール・スチュアート」、「エポカ」など、7ブランドを基幹ブランドと位置づけ、育成を図っている。しかし、7ブランドの今中間期の売上高は207億円と、前年同期比5%減に沈んだ。期初計画では横ばいを見込んでいたが、それにも届かなかった。
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