三陽商会、新社長が語る「万年赤字」の根本原因 投資ファンドとの委任状争奪戦にどう挑む?
改革を進めれば、必ず再生できる
――突然の社長交代には、どのような経緯があったのでしょうか。
三陽商会の株主である三井物産を通じて、「三陽商会の経営再建に手を貸してもらえないか」という話をいただき、それを受けて3月に副社長として入社した。最初に話をいただいたのは2019年末くらい。その後何回か話をして、私のゴールドウインでの経験や知見を三陽商会の再建に生かせるのではないかと考えた。
入社して以降は、中山社長、事業本部長を務める加藤郁郎常務執行役員と一緒に再生プランの策定に関わり、複数の提言をした。
プランの遂行に当たって、私は(外部の知見を生かして経営の)指導を行う立場になることを想定していた。しかし、指名・報酬委員会から「改革を推進するには、私が社長の立場で陣頭指揮を執ったほうが効果が出るのではないか」と提言があった。三陽商会は非常に苦しんでいるが、持っているブランドの資産価値や商品力は高く、改革を進めれば必ず再生できる。そう確信を持てたため、社長を引き受けることにした。
ただ、社長になるにしても、私は三陽商会の現場を100%知っているわけではない。現場と意思統一をして、現場の末端まで確実に一丸となるためには、私と中山、そして加藤を中心としたスリートップ体制(5月の株主総会後、社内取締役は大江氏・中山氏・加藤氏の3人となる予定)がベストだと判断し、今はプランの実行に着手した段階だ。新型コロナウイルスの影響が広まり、プラン策定時には予測していなかった状況もあるが、ダメージコントロールを行いながら、計画した事業構造改革を粛々と進めていく。
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