楽天モバイル綱渡りの携帯参入に勝算はあるか

大手3社に風穴開けるべく対抗策もテコ入れ

ただ、地方部は高齢者ユーザーの割合が高いなどの問題も少なからずあるため、「オンラインでの申し込みが9割」(三木谷氏)で楽天モバイルは店頭対応が大手3社に劣る部分がどの程度影響するかにも注視が必要だろう。

今回のサービス拡充については、自社回線地域外でのKDDIに支払う回線使用料が課題だ。約款に書かれた規定の使用料から計算すると、年間数百億単位のコストが発生する計算になる。1年間無料キャンペーンでほぼ手弁当を余儀なくされる楽天にとっては、手痛い出費と言わざるをえない。

一方で、自社回線の全国の人口カバー率が7割を超えた時点でKDDI側との契約は終了するため、今回の先行投資で三大都市圏だけでなく地方部のユーザーが獲得できれば、急ピッチで進める自社基地局建設と合わせて、顧客獲得に弾みがつく。楽天は今回の先行投資で、後には引けない大勝負に出たと言えるだろう。

楽天関係者によると「そもそも当初の2GBについても、発表の数日前まで協議が続いていた」という。楽天は今回の5GBについて、タイムスパンの兼ね合いも考えて合理性があると決断した考えられる。

基地局整備に楽天トラベルなどを総動員

先述した基地局整備については、楽天トラベルなど他部門のスタッフを総動員してスピードを上げるとみられる。基地局設置は地権者や建物オーナーなどとの地道な交渉が求められる。もともとめぼしい場所にはすでに大手キャリアの基地局が建設されており、そこに割って入るには人手が欠かせない。

新型コロナの感染拡大で観光業に閑古鳥が鳴く中で、手の空いた楽天トラベルのスタッフを動員できれば、中長期的にKDDIへの回線使用料を軽減できるため、戦略的な合理性はある。

さらに、楽天は携帯大手3社に比べ、楽天市場など消費者向けサービスは格段に厚い。ユーザーを楽天ポイントなどで「楽天経済圏」に囲い込めれば、大手3社の寡占市場に風穴を開ける可能性も出てくる。

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