PS4は国内生産もしているものの、主要な生産拠点は中国だ。PSを生産・販売するソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は「現時点では顕在化している問題はない」としている。
だが、複数の家電量販店がPS4の入荷スケジュールは読みにくくなっていると口をそろえる。ある店の店員は「(2020年の年末商戦に投入予定の)PS5を見越して生産台数を絞っているのではないか」と話す。
PS5の発売を控え、PS4本体の売り上げは減少すると踏んでいたソニーにとっては想定外だ。思いがけない特需だったとはいえ、売り上げを伸ばす機会をみすみす逃してしまった形だ。
ただ、ゲーム機本体は入手しなくてはいけないものの、ソフト販売では問題は出ていない。PS4のソフトではインターネットを通じたダウンロード版の購入がいまや主流となっているからだ。2019年10~12月期のゲームソフト販売本数のうち、ダウンロード版が占める割合は49%にのぼった。この割合は増加傾向で、現在は50%を超えているのは確実だ。この割合はニンテンドースイッチなどと比べて圧倒的に高い(スイッチ単体では公表されていないが、任天堂のソフトのDL比率は2019年度第3四半期時点で売上高の28.6%)。
さらに、ネット対戦などのサービスを提供する「プレイステーションプラス」(月額850円~、税込み)や、クラウド上のゲームをプレイできる「プレイステーションナウ」(月額1180円~、税込み)といったリカーリングビジネスも順調に会員数を伸ばしている。これらは十分なネット回線があれば一切外出せずに利用することが可能だ。
注目されるPS5の動向
ソニーも問題がないわけではない。SIEのジム・ライアンCEOは3月24日のブログで「ゲームのダウンロードが遅くなったり遅れたりすることがあるかもしれない。これはすべての人がアクセスを維持するためだ」と語った。世界的にインターネットの通信量が増えており、欧米では実際にダウンロード速度の制限を行った。
さらに今後の懸念は、年末商戦に投入するとされるPS5の動向だ。搭載する半導体の性能や、コントローラーなどを小出しに発表しているが、部品などの調達先はほぼ決定しているとみられる。ただ、世界同時発売をするとなると、相当の台数を発売日までに準備しなければならない。サプライチェーンの混乱から「十分な台数を供給できるのか」(部品メーカー関係者)といった懸念は尽きない。
下手を打てば、ニンテンドースイッチのように転売の横行などを招きかねず、複雑な舵取りが求められる。
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