部数激減「ヤバい新聞」と「生き残る新聞」の差 発行停止や解雇に踏み切るイギリスメディア

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新型コロナの危機に対処するため、新聞各社とも以下のとおりコスト削減に必死だ。

全国紙から地方紙まで影響は甚大

<全国紙・地方紙>
ガーディアン
100人の従業員(編集部以外)を一時解雇とし、賃金値上げを今後半年間凍結。管理職は給与の20%削減、ガーディアンを所有する非営利組織スコット財団のメンバーは報酬の30%を削減する。
FT
従業員20人を一時解雇とし、残りの従業員の中で管理職や編集デスクは今年いっぱい、給与を10%削減し、取締役は20%、CEOは30%削減。ボーナス制度も一時停止。
DMGT(デイリー・メール、メトロ、iなど)
一時解雇者を出さない代わりに、給与が4万ポンド以上の従業員は給与を最低1%から最高26%まで減額。同時に、正規の給与との差額分を会社の株で所有できるようにした。メトロは発行部数を約140万部から80万部に削減。
テレグラフ・メディア・グループ(デイリー・テレグラフおよび日曜版
90人の従業員(編集部以外)を一時解雇、ほかの従業員は経営陣も含めて20%の給与削減。5月から週4日勤務体制に。
リーチ(デイリー・ミラー、デイリー・エクスプレスのほか地方紙も発行)
従業員の5分の1を自宅待機とし、給与の90%を支払い続ける。残りの従業員については、経営陣や編集幹部が20%、そのほかの従業員が10%の給与削減。無料5紙の発行は停止。
JIPメディア(地方紙)
記者を含む350人を一時解雇とし、11紙の発行を停止。
<通信社>
PA通信社
従業員の4分の1を一時解雇、給与削減も実施予定。
<ロンドン市内の地域紙>
無料経済紙「City A.M.」
55人の従業員の中で40人を一時解雇。紙版の発行は停止。
無料夕刊紙「イブニング・スタンダード」
駅の入り口や構内での配布を、自宅への配達に変更。80万部の発行部数は50万部に減少した。一部の従業員を一時解雇措置とし、残りの従業員はその給与が3万7500ポンド以上の場合、20%削減した。

 

4月中旬時点で、従業員の一時解雇を行っていない新聞社の1つは、全国紙サン、タイムズ、サンデー・タイムズを発行するニュースUK社だ。同社の従業員の大部分は、フィナンシャル・タイムズ紙やテレブラフ紙などと同様に、自宅勤務となっている。

外出禁止令は、少なくとも5月上旬までは継続する予定で、新聞界はさらなる人員や給与削減にまで踏み込む可能性がある。

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