地頭力で対応するコロナ後の「未知の未知」 「想定外を想定する」ことができるかどうか

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コロナウイルス感染拡大という未知の脅威に直面し、「地頭力」が問われるように。古代ギリシアの哲学者ソクラテスが唱えた「無知の知」を紹介します(写真:Yoeml/iStock)
新型コロナウイルス感染症という未知の脅威に直面して、自ら能動的に問題を発見し、やるべき解決策を考えて、それを行動に移していく力、すなわち「地頭力」がますます問われるようになっています。
自分の頭で考えるための思考(法)には、戦略的思考、ロジカルシンキング、アナロジー思考、具体と抽象、無知の知、メタ認知……など、基本となるキーワードがあります。
入門『地頭力を鍛える』32のキーワードで学ぶ思考法』から、ここでは「無知の知」というキーワードを紹介、「未知の未知」という「想定外を想定しておく」ことの大切さを解説します。

新型コロナウイルスは、人間の生命や医療システムへの脅威となっているとともに、水面下で私たちが信じてきた常識や価値観を根本的に揺るがしつつあります。

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例えば「グローバル化やデジタル化で人の移動が自由で活発になる」「都市化と過疎化の流れは止められない」「対面が基本でリモートはそれを補完するものである」といったことです。

「ピンチはチャンス」とは言い古されたことですが、いまがまさにその時期と言えます。

上記の大変化に加えて、世の中に「解決策がない大量の困りごと」が発生している現在は、これまでの常識や価値観にのみ依存して「嵐が通り過ぎるのを待つのみ」という人たちには大ピンチとなります。

一方で、この変化に対応する新しい事業を考える人たちには「千載一遇の大チャンス」へと変えることも可能になります。

それらを分けるのが、「無知の知」を意識することによる「思考回路の転換」なのです。

【WHAT】ソクラテスだけが「無知」を自覚していた

「無知の知」とは何でしょうか。思考に関するキーワードの中でも最も重要なのが「無知の知」です。ギリシア時代にソクラテスが唱えたとされる概念です。

古代ギリシアで最も賢者であると言われた哲学者、ソクラテス(紀元前469年ごろ~紀元前399年)は、自分自身では「そんなはずはない」と考えました。

そこで当時賢者であると言われていたほかの人たちと話をして出した結論が「自分はほかの誰よりも何も知らないことを自覚している」ということでした。これが「無知の知」という概念です。

この言葉、思考回路を起動するうえでの重要度はほかのキーワードと比べて何倍も大きいもので、その大切さはいくら強調しても強調しすぎることはないでしょう。

逆に言うと私たちは「自分は何でも知っている」と、とくに中途半端に知識がある分野で思ってしまう傾向が強いので、それに対する戒めとしてつねに心に留めておくべきと言えます。

次ページ【WHY】「無知の知」vs.「無知の無知」
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