しかし、「そもそも」の問題がある。感染力が強力なウイルスに対する訓練は、政府・自治体や医療機関によってどの程度、実施されてきたのか。
三浦副委員長は「詳細に承知しているわけではないが」と前置きしたうえで、こう指摘した。
「例えば、千葉県成田市にある成田赤十字病院は成田空港に近いので、感染対策の防護具の着脱訓練をやっているようですが、一般的な病院では、端的に言ってできていないのではないか。もし、準備していたのであればこんなことになっていない。一般の病院と別に発熱外来をきちんと設けて、(感染の疑いがある人と一般の外来患者の)動線をはっきり分けて、速やかに検査につなげるところが非常に遅れていた。事前に計画があれば、発熱外来や病院の役割分担をどうするかはきちんとできていたはずです」
ICU対応の患者を一般病棟で管理する例も
三浦副委員長が続ける。
「コロナ対応のため、ICU管理対象の患者を一般病棟で管理する例が北海道で起きました。ICUでは2対1(患者2人に対し看護師1人が常時勤務)で、一般病棟だと7対1とか10対1。看護師の配置が違ってきます。人工呼吸器も扱わないといけない。結核の患者さんを病棟移動させたという報告もあります。結核の患者さんもきちんと隔離したり、排菌状況を確認したりということができていないと、それはそれで感染のリスクになってしまいます」
こうした混乱を裏付けるような事例は、「訴え」にも多数示されている。
・感染症指定病院は市立病院だが、ベッド確保できない場合は労災病院に運ばれてくる。感染症病棟がないため、混合病棟に運ばれてくる。
・ICU(集中治療室)は閉鎖になり、ICUスタッフは「感染患者がいる病棟の応援勤務」を行っている。
・結核用隔離病棟が17床あるが、常勤の呼吸器内科医師がいないため、陽性となった時点で転院させることになっている。
・重篤な患者を受け入れる態勢、最低、医師、看護師、臨床工学士で24時間みるためのスタッフをどうやって揃えるのか。しかも、心肺装置は看護師については、ICU、CCU経験者でなければ対応できない。
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