アマゾンが「お茶の間」制覇に乗り出した Fire TV発売で、リビングルームへ本格進出

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グーグル、アップル、マイクロソフトとも競合へ

Fire TVの登場で、テレビのセットトップボックス市場は、新興のカナダRoku、アップル、グーグル、そしてXboxを擁するマイクロソフトが競合する市場へと変化した。アマゾンは「複雑性を解消する」という言葉どおり、現状のセットトップボックスでは解決できていない問題の解決に自信を見せている。既存のネットフリックスやHulu Plusといったストリーミングサービスから、Amazon Instant Videoへと、緩やかに移行してもらう道筋も取っていくだろう。

もうひとつ注目すべき点は、ゲーム市場だ。ゲーム市場は、任天堂、ソニー、マイクロソフトの3大勢力がテレビとポータブル市場で競合しているが、アップルやグーグルのスマートフォン、タブレットは、これまでのゲームとはまったく違うエコシステムを築いてきた。

Fire TVは、これまでのコンソールゲーム機と、モバイルデバイスとのちょうど中間のような位置でのゲーム体験を作っていくことになるのではないだろうか。当然、ネットワークを前提にしながらも、パワフルなプロセッサで表現力豊かな、大型テレビの画面にフィットする体験が広がるはずだ。

アマゾンがFire TVをリリースし、用途が限定されていて本気ではないと批判されているApple TV、小さいのはいいが性能も低いというChromecast、ゲーム機としての認識が強いXboxは、今後、どのような展開をしていくのか。

「複雑性の解消」というコンセプトはいいが、インターネット回線の帯域確保の問題、テレビ映像の問題、ゲームタイトルの充実など、決してリビングルームのネット化における問題が解決されているわけではない。また、放送やコンテンツが絡むと、国ごとに対応が変わっていることも確かだ。日本のユーザーがどのようなメリットを手にするか、もう少し待たなければならないだろう。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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