アマゾンが「お茶の間」制覇に乗り出した Fire TV発売で、リビングルームへ本格進出

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iPadはイノベーターでありアップルというブランドがある。アプリの充実も背景にあった。しかしアンドロイドタブレットは、動機も、強いブランドもない。そこで、アマゾンは、電子書籍をはじめとしたコンテンツを楽しむという前提のデバイスとしてKindle Fireをリリースし、受け入れられた。リビングルームでも、オールマイティで目的性の強いデバイスによって、シェアを確保していきたい考えだ。

続いて、Amazon Instant VideoをはじめとするKindleエコシステムの利用向上だ。

アマゾンは、独自のストリーミングビデオサービスを立ち上げ、「Amazon Studio」製作のオリジナルドラマなども配信している。ストリーミングビデオ市場は年間350%の高成長市場だ。しかしKindle Fireシリーズの世界でのシェアは2%にとどまっており、それ以外のデバイスではアプリを介してアマゾンのストリーミングを楽しむことになる。ユーザーの活性化のためには、視聴するスタイルを多様化させる必要があり、リビングルームでの視聴は、大きな助けになるだろう。

Fire TVには「X-ray」と呼ばれる仕組みが備わっており、すでに利用しているKindle Fire HDXで見ていたコンテンツにテレビからアクセスできる。すでにKindleを使っているユーザーの利便性を高めることは、次のポイントにも通じる。

3つ目は、ユーザーのロイヤルティ向上だ。

Business Insiderによると、Kindleを所持しているユーザーは所持していないユーザーよりも、年間平均で443ドル多くアマゾンを介して購買するという。これはデジタルコンテンツに限らないデータだ。つまり、アマゾンのデバイスを使っているユーザーが増えれば増えるほど、ユーザー当たりの売り上げが向上する。Fire TVは「アマゾンのデバイス」の選択肢を広げることができ、売り上げ拡大に貢献する可能性が見込まれる。

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