4月14日に発表されたIMF(国際通貨基金)の世界経済見通しでは、中国の2020年の成長率予想は1.2%とされた。香港のサウスチャイナ・モーニングポストの記者から、これについてコメントを求められた毛氏は、「IMFは2021年の中国の経済成長率を9.2%と予想している。今年と来年を平均すれば5%以上になるはずだ。中国経済は疫病の影響を受けているが、来年にはもっと勢いづくかもしれない」と回答した。
足元の厳しい数字を踏まえれば、無理に財政出動をしても効果はあまり期待できそうもない。リーマンショック後に行われた4兆元(当時のレートで57兆円)の景気刺激策のように地方政府に膨大な債務を背負わせることも避けたいはずだ。
IMFの予想では、新型コロナの打撃により、世界経済全体の2020年の成長率は3%のマイナス成長だ。そのなかでプラス成長できれば、「GDP倍増」公約が実現できなくとも中国政府の面子は立つだろう。それよりも、共産党創立100周年である2021年、習近平国家主席が共産党総書記として2度目の任期を迎える2022年に向けての回復軌道を整えるほうが賢明だ。
マイナス成長への下振れも
ただし、下振れ要因もまだ残っている。やや好転しつつある輸出が再び低迷することだ。
丸紅中国会社の鈴木貴元・経済調査チーム長は、20年通年での成長率見通しについて、「4~6月に欧米景気が底入れすれば、2%程度の成長は見込めるだろう。だが、欧米の経済が停滞したうえ為替・商品価格の下落を受けて新興国の落ち込みも大きくなるようであれば、輸出減少の影響によって中国がマイナス成長に陥る可能性は小さくない」と予測する。
先進国がそろってマイナス成長に陥るなかで、IMFが1.9%成長を予想するインドと並んで、中国の存在感は高まるだろう。しかし、その中国にしても米国や欧州、さらに新興国の経済が底割れするリスクからは逃れられないのだ。
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