地方の医師が訴える医療現場の切迫した危機 物資不足やオンライン診療など課題は多い
――現状でもマスクや防護服が不足しているのでしょうか。
うちの病院は早くから危機意識を持っていたので、3月頭ぐらいからはマスクの確保を進めていました。今のままの使用頻度でいけば6月ぐらいまでもつ想定です。
とはいえ、マスクの減りが今まで以上に速くなっているので、来週からは医師と看護師に配布する枚数を週に3枚に抑えて、事務方にはマスクの配布を止める予定です。もちろん、マスクの再活用の仕方などの情報もセットで伝えますが、そうせざるを得ない状況です。
ただ、勤務する病院がある千葉県では、週に1回どんな患者さんが何人来ているのか、陽性の患者さんは何人なのかといったデータを各病院から県に報告しています。その情報をもとに県が備蓄しているマスクなども配布されるはずです。
医療用マスク「N95」はコロナウイルス感染患者への対応だけではなく、結核の疑いがある患者さんを診る際にも必要なので、受入患者数の多い大きな病院ほど物資の不足が深刻だと思います。
プレハブとzoom問診でコロナ対策
――青木先生の勤務する塩田病院ではどのような対応をされてきたのでしょうか。
うちの病院では、2月27日に病院の職員を全員集めてまずコロナウイルスに関する勉強会をひらきました。この流れがうちにもくるから、受付からどういうふうに患者さんの動線をつくるのかといった話をしていました。
もしうちの病院が院内感染して潰れてしまったら、地域内で他に救急外来を受けてくれるところはありません。私立病院なので国からの補填も不透明で、このままの状態でコロナウイルス感染患者を受け入れるようになったら経営も破綻しますと院長に伝えました。
それから徐々に準備を進め、今週の頭からは僕自身も定期外来や病棟業務からはずれて、熱症状や風邪症状の人を特定のスタッフだけで診る勤務体制に変えました。最初はやりすぎじゃないかと言っていた人も考え方が変わってきました。
2日前に地元ではじめての感染者が出たのですが、1ヶ月かけて準備をしていたことや院内で教育をしていたことで、地元出身の看護師さんたちが、心配しているご近所の住民さんに対して、まずは自宅待機をしてくださいとか、病院にくるまえに保健所に電話してくださいと呼びかけるなど、冷静に対応できています。
またオンライン診療も活用しています。まず、風邪症状がある人のなかで軽症の方には、電話で対応方法をご説明して、自宅待機をお願いしています。