地方の医師が訴える医療現場の切迫した危機 物資不足やオンライン診療など課題は多い
――現場で働く医師として、国や、個々人へのメッセージはありますか。
国に対しては「三密」(密集、密室、密接)を避けましょうと伝えるだけではなくて、経済的な保障を担保するかたちで完全なるロックダウンをしてほしいというのが僕の意見です。
他の国がロックダウンに成功しているのは、経済的な保障をしっかりしていることが大きい。この状況下でも働かないと生活できない人はたくさんいるので、そうした人が外に出ずにすむようにしてほしいですね。
問題を自分ごととして捉えてほしい
僕らの仲間内では、今の状況は戦争のようなものだよねと言っています。僕らは赤紙をもらっているような状況で、いつこの状況が終わるかも分からない。
僕自身は救急医として救急外来を経験してきたので、どんな重症の患者さんがきても怖いという気持ちはなかったのですが、今回は違います。自分自身が感染して、死ぬかもしれないという恐怖があります。
個々人に対しては、まだ「まさか自分が」と思っている人が多いと思うので、自分も重症化する2割になるかもしれない、あるいは死亡者になるかもしれないと、最悪の事態を想定して行動してほしいと思います。
極端にピリピリして不安になることはないですが、マスクをして手を洗うなどを徹底して、自分や家族の安全を守ってほしい。感染者が少ない地方ではまだ他人ごとに思っている人もいるかもしれませんが、都心に頼っている医療体制はすでに危機に陥っています。またコロナウイルスの患者以外にも影響が及んでいることを知っていただきたいです。皆さん一人ひとりの行動にかかっているのでご協力お願いします。
医療法人SHIODA塩田病院総合診療科・部長。2007年滋賀医科大学医学部卒業。地域で役に立つ医師を目指して初期研修から湘南鎌倉総合病院で過ごし、小児から高齢者までどんな主訴の人も診る北米型ER(救急救命)研修を積む。その間、鹿児島や沖縄の島々で離島研修も経験。2013年北海道松前町立松前病院で「総合診療医」として慢性期外来、病棟、訪問診療、終末期ケアなどに従事し、市立函館病院の要請で道南部のドクターヘリにも乗る。長崎県上五島病院で1年間の離島医療+オーストラリア、クィーンズランド州での3ヶ月のrural general practitioner研修を経て、現在にいたる。「地域での医学教育」「地域医療」を自分の軸にしている。
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