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世界最悪の汚さ、インドの水道水を救えるか インドで展開する水プロジェクト<第1回>

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  • 木村 聡 写真家、フォトジャーナリスト
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別の水源を使うプロジェクト

ヤムナ川を浄化し、水道水源に適する川へ変えるには、周辺に暮らす人々の生活を根本的に見直す必要がある。ヤムナの姿を目の当たりにした今、その実現への道のりが途方もなく遠いことは容易に想像できる。ならば、ヤムナ川以外の水源を用いることはできないか。考え出されたのが、今回のプロジェクトだった。

しかし、カンガージャル・プロジェクトはスタートしてから7年が経過しているが、目立った進捗は見せてはいない。実際に水道水が飲めるようになるには、外から水を持って来れば済む話ではなかったのである。

そもそもアグラの水環境を「インド最悪」とまで言わせるゆえんは、深刻に汚染された水質だけが問題ではなかった。ここでは水道水を取り巻く状況が、すべて劣悪だった。水を運ぶ水道網、浄化する技術、水道料金の徴収、さらにそれらを管理する水道行政など、いっさいがっさいが崩壊していた。

その崩壊したアグラの水供給システムが、まずは足かせとなっている。導水と同時に既存上水施設の改修や拡張など、アグラ市内の水道網の再整備もプロジェクトには盛り込まれていた。が、ふたを開けてみれば、状況は想像を超えていた。

とりあえずアクセス道路の一部などは建設。しかし、新たな浄水場や、ガンジス川から水を運ぶ本体工事はいっさい未着工のままだ。計画が遅れている間にも資材費などは高騰し、最初の見通しから経費も大幅に増大。プロジェクト予算の増額も検討され始め、再び遅延という悪循環である。

予算は当初は約250億円。それがさらに今春、およそ100億ルピー、日本円にして170億円ほどの追加融資が決まる方向だという。
 そして、こうして無意味に膨らむ予算のすべてを引き受けているのは、実は日本だ。このアグラの水プロジェクトは、国際協力機構(JICA)を通じの円借款予算が付いた、日本の国際協力プログラムなのであった。

※ 「インドの水道インフラは、なぜ崩壊したのか」に続く

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