セブン&アイ、「業績未定」に込めた期待と不安 コロナ後見据え、ネットショッピングに曙光
たしかに先を見通すのは難しい。セブン&アイHDの2021年2月期のカギを握るのは、業績改善が急務のイトーヨーカ堂とそごう・西武だ。
2020年2月期のイトーヨーカ堂は、店舗数の減少や既存店での売上高減少が響き、営業収益は前年同期比4.1%減となった。ただ、営業利益は同38.5%増の65億円となった。
利益を押し上げたのは、食品部門の強化や売り上げの厳しい衣料品・住居関連商品での自社商品縮小、テナント誘致といった構造改革を実施した店舗だ。この成果を受けて、井阪社長は「(構造改革の)水平展開を加速させる」とするが、うまく軌道に乗せられるかが勝負となる。
そごう・西武は2019年10月の消費増税に加え、訪日外国人客数落ち込みの影響を受けた。その結果、2020年2月期の営業収益は前年同期比2.5%減、営業利益は1.7億円と同94.7%減となった。
百貨店事業は2021年2月期に、関西を中心に5店舗の閉店と秋田と福井の2店舗での店舗面積縮小を予定している。池袋など首都圏店舗に経営資源を集中させる考えだが、当面は我慢の状況が続きそうだ。
「コロナ後」を見据えて動き出す
井阪社長は決算説明会の場で、「新型コロナウイルスを契機に、顧客の行動ががらっと変化する可能性もある」との考えを示した。実際、ネット注文が増加するなど、「コロナ収束後」の好材料となる動きが見え始めている。
例えば、ネットで注文した商品をセブンなどの実店舗で受け取れる「セブンネットショッピング」。巣ごもり需要によって書籍やゲームの販売が好調となり、3月の売上高は前年同月比で30.9%増加した。
イトーヨーカドーのネットスーパーでは、安定した配送体制を組むことができている西日暮里店(東京都荒川区)からの配送分が同7.1%増加した。ミールキットやレトルト食品などが伸びているという。
新型コロナという見えない敵との闘いは難渋しそうだが、新たな消費行動に対応し、それを奇貨とできるか。今後の小売業を占う焦点になりそうだ。
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