STAP論文の調査委員会が研究不正を認定

筆頭執筆者の小保方氏は理研に不服申立へ

調査報告を受けて4月1日午後に会見した理研関係者。中央が野依良治理事長

小保方氏に提出を求めて出てきたのは、実験ノート2冊(10年10月~12年7月及びそれ以降)と、私物のパソコンから本人立ち会いの下で取り出したデータ類のみ。論文発表当初、「実験が大好き」と言っていたという小保方氏の実験量としてはあまりにも少ない。

調査委員会によれば、提供された資料は実験内容がきちんと整理されておらず、日付もはっきりしない。また、何の実験に基づくデータなのかも判然とせず、「正確に実験のトレースができず、(いくつかの問題について)研究に不正があったかどうか判断ができない状態」(岩間厚志調査委員)だったという。

パソコンは理研が貸与したものを使うことになっている。にもかかわらず小保方氏は私物を使っており、そのパソコン自体を調査委員会に提出できないのであれば、証拠隠滅を疑われても仕方がない。「まさかこんなことになっているとは思いもよらなかった」(川合眞紀理研研究担当理事)というのは、調査委員会メンバーにも共通する思いだろう。

今回の最終報告を受けて同日午後に会見した理研の野依良治理事長は、「論文の撤回を勧告する」と述べている。

 STAP研究は誰のものか

そもそも研究は誰のものか。アカデミアの世界では、研究成果は研究者個人のものとされる。しかし、公費を使った研究は公共性の高いものであり、調査で求められればすべて提示すべきだろう。後ろめたいところがないのであれば、すべての情報を提供することで、小保方氏の身の潔白を証明することにもつながったはずだ。

野依理事長は「論文の撤回を勧告する」と述べた

1日の理研の会見で配布された小保方氏の「調査報告書に対するコメント」には、「理化学研究所の規定で『研究不正』の対象外となる『悪意のない間違い』であるにもかかわらず、改ざん、ねつ造と決めつけられたことは、とても承服できません」など、調査委員会の決定に対する不満が述べられている。

論文にあった複数の重大な瑕疵で、上司や先輩に当たる共同研究者や自身が所属する研究機関、自らの研究を横に置いて調査にかり出されている調査委員会のメンバーなど、多くの人に時間と費用だけでも多大な迷惑をかけていることに対する謝罪の言葉はない。

もちろん、研究者には不服申し立てという権利がある。だが、理研の年間予算8444億円(13年度)のうち、9割を超す7883億円は政府支出金、つまり国民の税金だ。このうちユニットリーダーである小保方氏に与えられたのは、研究費と人件費併せて年間約2000万円。一般企業で30歳そこそこの従業員に与えられるとしたら大きな金額だ。自身の立場についての自覚はあるのだろうか。

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