「自らの不勉強、不注意による不備から共著者の皆さんにご迷惑をおかけしました」
STAP論文の筆頭著者である小保方晴子氏は、4月9日に開いた記者会見で、終始低姿勢だった。同論文を巡っては1日、理研の調査委員会が「改ざんと捏造があった」とする結果を発表。小保方氏は8日、再調査と不正認定の撤回を求めて理研に不服を申し立てた。
小保方氏に関して、焦点になっているのは2つ。論文の不正解明と小保方氏の身分保全だ。8日の理研への不服申し立ては、理研職員としての身分を継続する意味でとられた手続きと見られる(契約そのものは4月1日に更新されている)。
科学的な合理性に疑問
だが、不服申立書の記述には、法律の観点からは合理的かもしれないが、科学的にはまったく合理性のないと思われる部分も多い。
たとえば、電気泳動画像の切り貼りについて不服申立書では、調査委員会が公表した主画像の「1.6倍の拡大」ではなく「切り貼りした部分の80%縮小」と主張。そのようにしたのは「紙面の都合で小さくしなければならず、画像を見やすくするため」であり、「結果を偽装するためではない」とした。
また、論文の中核であるテラトーマ画像の取り違えも、疑念を持たれている学位論文からではなく、研究室でのミーティングに使ったものであり、真正な画像もあるのだから捏造には当たらない、とした。
法律的な側面で求められる要件と、科学者が科学者コミュニティで求められる要件は大きく異なっている。画像を実際よりよく見せるために切り貼りした時点で、科学者の間では、真正なデータに対する意図的な改変であると認定される。つまり、科学者として信用してくれる科学者仲間がいなくなる、ということだ。
それは「1.6倍に拡大」でも「80%縮小」でも、手順がどのようであっても同じ。同様に、論文の根幹にかかわるテラトーマ画像を実験条件の異なる画像と取り違えたことそのものが問題だ。
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