再現実験が次の焦点、長期化するSTAP問題 研究不正の認定に小保方氏が反論

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大阪市内のホテルで開かれた記者会見には報道陣が殺到した

研究助成金の決定は、文部科学省傘下の日本学術振興会やJST(科学技術振興機構)などが主体であるが通常期限が3~5年、iPSを含む医療関係でも最長10年と区切られており、その期間内に一定の成果を出さなければならない。企業が扱う応用研究や実用研究とは異なり、基礎研究で成果を出すには時間がかかる。国費を使う以上説明責任は果たさねばならない。

ただ、あまり性急に成果を求めすぎると、スケールの大きな研究は除外され、有能な人は海外に逃げていく可能性が高まる。特に基礎研究は当たり外れも大きく、成果が見えにくいため、よほどプレゼンのうまい研究者でも現れないかぎり、金食い虫などと揶揄されて研究資金を長期的に確保しづらいという悩みがある。

1年かけて再現実験を実施

博士を表すPh.D.は、Doctor of philosophy、直訳すると哲学博士だが、狭義の哲学ではなく「人類の英知」を指す。この称号を持つ人は不正など考えもつかない高潔な人物であるはずだった。論文不正の頻発で、多くの大学・研究機関で、研究者倫理教育を厳しくする方針を示している。理研でも4月4日に研究不正再発防止改革推進本部を設置し、外部識者による第三者委員会の意見をもとに改善策に取り組むとしている。

肝心のSTAP細胞は実在したのか、いまだにわかっていない。「論文としてはまったく体を成していない」と野依良治・理研理事長が語ったSTAP論文は、筆頭著者の小保方氏と・ハーバード大学教授のチャールズ・バカンティ氏の同意が得られず、いまだに撤回されないままだ。

理研では、CDB特別顧問の相澤慎一氏とSTAP論文共著者で多能性幹細胞研究プロジェクトリーダーの丹羽仁史氏が1年の時間と1300万円の資金をかけて再現実験を行う。信頼を失った論文の正しさを証明する責任を、筆頭著者ではなく共著者が果たすことになる。

(撮影:ヒラオカスタジオ)

小長 洋子 東洋経済 記者

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こなが ようこ / Yoko Konaga

バイオベンチャー・製薬担当。再生医療、受動喫煙問題にも関心。「バイオベンチャー列伝」シリーズ(週刊東洋経済eビジネス新書No.112、139、171、212)執筆。

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