隔離生活が4週目突入、フランス人の「本音」 買い物、ご近所との連携、マスク問題…

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隔離生活が始まった当初、多くの人はあまり本気で取り組んでいませんでした。ところが、まもなくこれが生死を分ける問題だということに気がついたのです。政府は繰り返し外出違反する人の取り締まりにも力を入れており、罰金も初回が135ユーロなのに対して、2回目は200ユーロ、3回目は3750ユーロと上がっていき、4回目は収監する可能性もあるとしています。

少し大げさにも思えるかもしれませんが、あまり聞き分けのよくないフランス人には必要なことなのです。特に4月12日はイースター(復活祭)でこの前後2週間はお祝いの期間。多くの家族が遠出をしたくなる時期なので、内務大臣は「公式」の理由なしに移動する人々に対しては取り締まりを厳重化すると警告を発しています。

買ってきたものは家の外や車の中に1晩放置

さて、フランス人にとって隔離生活はどんなものでしょうか。

食料や日常生活の必需品、そして医療品の買い物に出かけることは許されています。しかし、客と客の間には「ソーシャル・ディスタンス(社会的距離)」を保たなければなりません。1m以上です。従って、店内の人の数を制限している一部のスーパーマーケットの前には長い列ができています。

ウイルスは多くのモノの表面に比較的長時間残っているとされ、買い物に行くにしても多くの人が極めて慎重になっています。買い物に行く際には手袋をし、買ってきたものをすべて家の外や車の中に1晩放置。その後包装を捨て、最後に食べ物を濡れタオルで拭きます。また、出かけるときに着る服はすべて玄関に置いておく……。

現在、フランスにおける最大の問題(国内ではスキャンダルとなりつつあるのだが)は、マスク不足です。特に医療従事者用のマスクが不足していることです。

フランスのような国でマスクの在庫がほとんどないというのは信じがたいことです。ご存じのようにヨーロッパの人々は、日本やほかのアジアの国々と違って、マスクをすることに慣れていないからです。

ニュースでは連日「マスク不足」が叫ばれており、マクロン大統領はマスクを作るフランスの地方工場へ足を運び、フランス圏内にあるすべての工場で、急ピッチでマスクを生産し始めるよう要請しています。それでも、国民に行き渡らせるには中国からの輸入が必須で、ここでも海外に依存している現実があらわになっています。

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