隔離生活が4週目突入、フランス人の「本音」 買い物、ご近所との連携、マスク問題…

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地域間の連携も生まれています。地方の病院の一部では、対処しきれないほどの数の患者を抱える地域から送り込まれてくる呼吸器不全の患者たちを受け入れているのです。こうした患者は、特別列車や軍によって運ばれます。

フランスの状況は日本に比べて極めて深刻です。それは特に、外出禁止などの強制的な規制や、感染者数、そして死者数に関して言えることです。

危機的状況になると「戻ってくるもの」

一方、日本人の友人や仕事仲間から日本の状況を聞くと驚くこともしばしば。例えば、多くの公園は閉鎖されている一方で、花見は許されていた、とか、4月1日に発表された「1世帯にマスク2枚」という悪いジョークのようなアイデアとか……。

もっとも、フランスは日本のことを笑えません。フランスでもある日突然、マスクをつけるように言われたのですから。そもそも誰も持ってすらいないのに。

これはつまり、「自分で作れ」ということなのです。

フランスでは危機的状況になるといつも「戻ってくるもの」が2つあります。1つは、強大な中央集権的政治権力(大統領と首相)で、彼らが物事を決定し、国民に対してその責任を負うのです。

そしてもう1つが「システムD」。つまり国民全員が自分なりの方法で解決策を見つけなければならないというシステムです。矛盾しているように見えますが、これこそがフランスの特徴でもあるのです。

ドラ・トーザン 国際ジャーナリスト、エッセイスト

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Dora Tauzin

フランス・パリ生まれの生粋のパリジェンヌ。ソルボンヌ大学、パリ政治学院卒業。国連本部広報部に勤務ののち、NHKテレビ『フランス語会話』に出演。日本とフランスの懸け橋として、新聞・雑誌への執筆、テレビ・ラジオのコメンテーター、講演会など多方面で活躍。著書に『フランス式いつでもどこでも自分らしく』『パリジェンヌはいくつになっても人生を楽しむ』『好きなことだけで生きる』などがある。2015年、レジオン・ドヌール勲章を受章。公式ホームページはこちら、 Facebookはこちら

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