それは、読めないからである。今日は、その話をしよう。
といっても、日銀の金融政策などというつまらない話ではない。実態的(ここでの実態は「実体」の要素もある)に影響のないものが、なぜ実体に影響を与えるのか。
それは不確実性があるからである。
では、不確実性とは何か。フランク・ナイトの不確実性と言ってもいいかもしれない。
ナイトの不確実性とは?
ナイトの不確実性は、予期できないものであり、確率分布として数量的に把握できないもの、というのが雑なまとめ方だが、リスクとは「数量化できるもの」、不確実性(uncertainty)とは「数量化できないもの」と分けるのが、安全な定義だ。
なぜなら、この定義は中身がないから、間違いになることはなく安全だからだ。
数量化できない不確実性とは何か。
ケインズの処女作は確率論(蓋然性)である。彼の確率論は、話題にはなかったが、ラムゼーなどの批判もあり、誤りであるということになっているが、理論化に失敗したとしても、ケインズの言いたいことは、客観確率とそれとは別のものがある、ということだった。後者の別のものとは、ナイトの不確実性と似たものであると思われる(私の個人的解釈だ)。
ここでは、この議論はやめて、要は、ナイトの不確実性だか、ケインズの客観的でないものだか、何らかの不思議なものが存在する、ということだ。
かつての流行の言葉で言えば、想定外、ということだろう。もっと意味不明の流行語で言えば、ブラックスワンだ。
いずれにせよ、これがいろいろなことをもたらす。
ナイトは、リスクと不確実性を区分した、ということになっているが、その著書のタイトルは “Risk, Uncertainty and Profit” だ。皆、3つめの言葉を忘れている。ここが重要だ。
つまり、リスクは事前に予期され、計算されるから、事後的な運不運はあるだろうが、宝くじと同じで、すべて予想通り、期待シナリオの一つだということだ。一方、不確実性は、全く予期も計算も、準備もできないから、これを捉えるには、経済主体により差が出る。そして、これが利益の源泉となる。このチャンスを捉えるのが、経営であり、企業組織であり、戦略である。
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