ビットコインという「通貨」の正体 なぜ日銀・黒田総裁は「通貨でない」と発言したのか

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政府や、日銀・黒田総裁は「通貨ではない」といった。果たして、ビットコインの正体とは?本当に通貨ではないのか(ロイター/アフロ)

ビットコインは通貨か。ビットコインは、バブルになっているか。ビットコインとは何か。

このコラムは、いつも日銀金融政策決定会合後に書くことになっているわけではない。だが、黒田東彦・日銀総裁も政府見解に続いて「ビットコインは通貨ではない」、とコメントしたことから、議論をここでもしてみたい。

通貨とは?貨幣とは?通貨と貨幣の違いとは?

ビットコインは通貨である。

破綻したビットコイン取引所「マウントゴックス」社のマーク・カルプレス社長(撮影:尾形文繁)

なぜなら、通貨は通貨であるから通貨なのである。ここで、通貨と貨幣の違いに疑問が生じるかもしれない。私はいつもは、貨幣は貨幣であるから貨幣なのである、と言うからである。

もちろん、これは恩師である岩井克人氏の言葉である。

貨幣と通貨の違いについては、いくつかの考え方、定義があるが、通貨とは「通用する貨幣である」としよう。そうなると、通用しない貨幣というものが存在しないといけない。しかし、貨幣が貨幣であるのは、それが貨幣であるからだ、という論理に寄れば、通用しない貨幣は貨幣ではない。

すなわち、貨幣が貨幣であるのは、人々がそれを貨幣とみなし、貨幣として受け取ることによるのであり、受け取り手が貨幣だとして受け取らなければ、それは金であろうが銀であろうが、貨幣でない。

だから、法定通貨であっても、アルゼンチンペソをアルゼンチン国民の誰もが受け取らず、米国ドルで取引をするようになれば、法定通貨、つまり、法律で通貨であると定められたアルゼンチンペソは、その場面では、貨幣でなくなる。通用しない通貨となるのである。だから、これは通貨ではない。

この点で、ビットコインは、それが通貨だと思う人々にとっては通貨であり、そうでない人にとっては使う必要のないモノであり、通貨ではない。

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