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政治・経済・投資 #小幡績の視点

流れを予測できない、日銀の金融政策 不確実性とは何か

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  • 小幡 績 慶応義塾大学大学院教授
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さて、金融市場でも同じだ。金融投資のことだ。サプライズだけが利益をもたらす。織り込み済みでないことだけが値上がりをもたらす。

しかし、織り込み済みでないこととは何か。それが問題だ。ナイトの不確実性の正体とは何か。それが問題だ。

「世界大戦」と「バブル」の共通性とは?

クリミア半島の動きはサプライズだが、事後的に考えてみれば、すべてのことは合理的だ。予想できたような気がする。プーチンはプーチンらしいし、ロシアとはこういう動きをする実績を持つ国であるし、ロシアとウクライナの関係は周知の通り、これに欧州が絡んでいったのも、皆知っていた。米国が中途半端な姿勢をとるのもいつものことだし、米英に比べ、日本や欧州は、理屈抜きにロシアに寛容すぎるし、これもいつもどおり。冷静に考えれば、クリミアの住民の意向は投票するまでもなくわかっていて、流れが傾けばこうなる。では、予想できなかったこと、想定外は何だったのか。

それは、この「流れが傾く」ということだ。

各要素はわかっても、それが流れを作ることは想像できなかった。なぜなら、一つ一つの要素を独立に見ていては、そうなる可能性はそれぞれに低いからだ。可能性が低いと認識されることが二つ以上重なると、人間は、可能性は実質ゼロと判断する(これも個人的な仮説だが)。だから、予想できない。

第一次世界大戦がなぜ起きたか。なぜあんな大規模なものとなってしまったか。これも大きな謎とされているが、実は同じことではないか、というのが私の仮説だ。たいした戦争にならないと思って始めたが、流れができてしまうと、それが膨らんでいった。後戻りするべきだが、個別には出来ないので、どんどん持っていかれてしまったということだ。

世界大戦は私の領域ではないが、バブルはまさにこれだ。バブルでなくとも、毎日の株式市場、為替市場もこれだ。

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【一つ一つのことは予想できても・・】

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