勢いのある企業は従業員を増やすが、もちろんそんな順調な企業ばかりではない。経営が芳しくなかったり、グループ再編の一環で不振事業や本業との関連の薄い部門の整理を進めたりすれば従業員は減少する。
ましてや、足元は新型コロナウイルスの感染拡大により、世界経済が大きく収縮した状況にある。これまでは順調に業績を伸ばしていた企業も、突然かつ急激な路線転換を余儀なくされる可能性も否定できない。
東洋経済オンラインは、過去5年で正社員を大きく減らした上場企業を独自に調査している。今回は上位500社をランキングした最新版となる。
ランキングは有価証券報告書(2018年12月期~2019年11月期)に記載されている「従業員数」を正社員数と見なし、2013年12月期~2014年11月期の人数を比較して減少数の多い順に並べた。
従業員数は連結ベースと単独ベースの数字が開示されているが、今回は連結ベースの人数で比較を行った。単体ベースの数字で比較すると、この5年間にホールディングス化を行った企業などのテクニカルな影響が大きくなってしまうためだ。5年前比の正社員増加率や非正社員数も併載した。
2位フォスター電機は6割近い減少
5年で1000人以上の正社員を削減した会社は57社だった。1年前の前回調査では48社だったので、さらに9社が増えた格好だ。特に顕著なのが電機・エレクトロニクス業界である。
1位の東芝は7万1563人の大幅な削減となった。2018年6月に半導体メモリ子会社の「東芝メモリ」の売却が完了した影響が大きいとみられる。
2位のフォスター電機は3万5621人、率にして58.2%の大幅減少となった。これは経営合理化のため、ベトナムで希望退職者の募集を実施した影響のようだ。
5年前と比べて1万人以上、正社員を減らした企業は上位7社までで、そのうち電機・エレクトロニクス業界の企業は6社となった。
なお、1位の東芝は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、4月20日から5月6日まで、工場を含む国内の全拠点を休業にすると発表した。本ランキングは2019年11月までの有価証券報告書の注記から作成しているので、今後の業況次第では複数の企業でさらに正社員数が減ってくる可能性がある。