国際通貨基金(IMF)は4月14日、世界経済見通しを改定し、2020年の成長率予測をマイナス3.0%に引き下げた。世界経済の先行き不透明感から、日本企業でも今後、人員態勢を見直す動きも出てきそうだ。
東洋経済オンラインでは、全上場企業を対象に、従業員数の多い会社を調査。出所は各企業の2018年12月期~2019年11月期の有価証券報告書の従業員の注記とした。有価証券報告書に示される従業員数には明確な定義がないものの、雇用契約で特別な取り決めなく雇用されている正社員数とイコールと考えられる。
またランキングでは5年前の正社員数と比較した増減率を掲載。人数が増加しているか減少しているかは、企業の活力をみる指標ともなる。同じ製造業でも業界によって明暗が分かれる結果となった。
ランキング上位には売上規模の大きなグローバル企業が目立つ。典型的なのが自動車メーカーだが、全世界で現地生産を進めているため、雇用者のすべてが国内の雇用ではない。なお、ランキングには非正社員数と非正社員比率についても併載した。
自動車と電機で明暗
1位はトヨタ自動車。株式の時価総額・売上高・利益でトップの同社が、従業員数でも1位になった。全世界に37万0870人を抱え、5年前と比べても9.4%増加した。トヨタ自動車に関連する企業のランクインも多いため、同社が日本の雇用に与える影響が大きいことを感じさせる。
2位は日本電信電話(NTT)で30万3351人。5年前との比較では26.5%の大幅な増加だった。逆に、3位の日立製作所は事業ポートフォリオの見直しを行った結果、5年間で7.7%の減少となった。
同じ総合電機で不適切会計などにより経営不振に陥った東芝は12万8697人で、5年前と比べ35.7%減少した。2018年6月の半導体事業売却が大きく影響したとみられる。
ほかにも電機メーカーの増減数に着目すると、減少傾向にある企業が多い。「日の丸電機」の苦境がランキングでも明らかになった。
一方で、自動車産業の活況を受け、住友電気工業(4位、27万2796人)やデンソー(10位、17万1992人)など、自動車部品を製造する企業の従業員数は増加傾向にある。