「共同親権」は子ども視点で見ると大問題だ 「許可を得る相手」が増えるだけかもしれない
では、親権を濫用されることで苦しめられる子どもには、抵抗のすべはないのか。
裁判所は、子どもの監護者の指定その他の子どもの監護に関する処分についての裁判または前項の親権者の指定についての裁判をするに当たっては、子どもが15歳以上であるときは、その子どもの陳述を聴かなければならないとしている(人事訴訟法32条4項)。
また、判例上は、10歳以上なら意思を表明する能力があるとして子どもの意思が尊重され、10歳未満が意思を表明するならその真意がより慎重に判断されると見る向きもある。
それだけでなく、日本は、1994年4月に児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)に批准した。この条約では、締約国に以下のルールを課している。
日本では、この条約に基づいて国内法が万全に整備されているとはいえない。
教えられていない子どもの権利
現時点で、子どもにとってほとんど唯一法的に保証されている権利は、子ども本人でも家庭裁判所に親権の制限(親権停止や親権喪失、管理権喪失)を請求できるというものだ。
ところが、この権利すら、子どもは学校でも児童相談所でも、必ずしも教えられてはいない。共同親権を進めたいなら、親権制限を請求できる権利が子ども本人にもあると教えることを親権者に義務づけてもいいはずだ。
現行法のままなら、離婚後の親権者は父母どちらか1人になるため、子どもにとっては自分を虐待する恐れのある存在が減ることになる。
親権者を2人のままにする共同親権が広く受け入れられるとしたら、そうした子どもの立場を救済できる仕組みを法案に盛り込むことが不可欠だろう。子どもが本気で大事なら、親の権利を守るのと同じ程度に子ども側のニーズをふまえて制度設計をするべきだ。
そこで、離婚後の共同親権を推進する日本維新の会、その中心的な活動をしている串田誠一・衆議院議員、ならびに民間団体「共同親権運動・国家賠償請求訴訟を進める会」の宗像充さんに、3月13日にメールで質問状を送り、1週間以内の回答を求めた。
すると、宗像さんからだけ、以下の回答があった。
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