たとえば、男性上司が男性部下に対して、「子供できないのは、夜の生活が今いちなんじゃないの?」とからかったり、「男のくせにこんなこともできないのか」と叱ったりすることが例に挙げられるようです。
さらに、冒頭のような発言を含む、性的マイノリティであるLGBTに対する差別的な言動や行動についても、セクハラであるということが認められました。今回の指針の改正では、パブリックコメントを募集しており、そこでLGBTに対する差別も含めるべきだという意見が多く寄せられました。昨年12月20日に行われた第139回労働政策審議会雇用均等法分科会においては、労働者代表委員の松田委員から、今回の指針のセクハラに対して事業主が雇用管理上講ずべき措置には、セクシャルマイノリティに対するものも含まれるかと厚生労働省の成田雇用均等政策課長に質問がありました。
性的マイノリティに対する差別的言動もセクハラ
成田課長は返答で「性的マイノリティの方に対する言動や行動であっても、均等法11条やセクハラ指針に該当するものであれば、職場におけるセクシャルハラスメントになると考えております」と述べて、初めてLGBTに対する職場での差別を、セクハラに含むことを確認しました。
このことに関して、LGBTの人権と職場政策に詳しい、大東文化大学のダレン・マクドナルド教授はこのように指摘します。
「ハラスメントが人事政策の中で注目される理由は3つある。1点目は、日本社会が製造業中心からサービス産業中心に変化し、求める人材が変化したことである。能動的に仕事ができて、イノベーションを起こせる人材を会社は求めるようになった。そのため人材がハラスメントを受けない、伸び伸びと潜在的な力を発揮できるような場を、企業が提供することが重要となった。