世を騙し「1日で500万円」を荒稼ぎした男の告白 フェイクニュースは今や選挙や株価を左右する

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選挙関連のフェイクニュースは儲かると語るカルロス・メルロ氏(31歳、写真:NHK)
私たちが信じるリアル。それ、ホントに“リアル”!?
4月5日(日)、12日(日)の2回にわたってNHK総合で放送するNHKスペシャル「デジタルVSリアル」はデジタル世界に積み上げられていく膨大なデータが、現実世界の私たちの行動に及ぼそうとしている影響を追っている。
「事実」よりはるかに“拡散力”を持つと言われる「フェイク」が世界中で混乱を巻き起こす中で、私たちに何ができるのか? 「濡れ衣でリンチ殺人招いたSNSフェイクの恐怖」(2020年3月31日配信)に続いて放送で追った「氾濫するウソの情報=『フェイク』との闘い」の一部をお届けしよう。

“メキシコのフェイク王”を目指した男

3カ月にわたる交渉のすえ、フェイクで世論操作をしてきた会社を取材できました。代表で31歳のカルロス・メルロ氏は、9年前に政治マーケティング会社を立ち上げました。メルロ氏が得意にしているのが、フェイクニュースの拡散です。

メルロ氏が活用してきたのは「ボット」です。まず、ネットにある別人の写真を使用して、実在する人物のようなアカウントを大量に作成します。そして、それらのアカウントから自動的にコメントを書いたり「いいね」をつけたりするのです。

このシステムを使って1秒間に150回のツイートを5分間続けることで、ツイッターのトレンド上位に入ることができるのだそうです。

メルロ氏がビジネスチャンスだと感じたきっかけは、6年前。「事故で亡くなったポールウォーカーが実は生きていた」というフェイクニュースを拡散したときです。「1日に600万回も見てもらえたんだ。感動だったよ」と話します。

その後、ビジネスの軸足を選挙に移してきたメルロ氏。選挙期間中、何人もの政治家から依頼を受け、多いときで1日500万円も稼ぎました。

私たちはさらに、メルロ氏の下請け会社を取材することができました。ここでは本物のアカウントを乗っ取っての世論操作をしていました。彼らが実際の手口をカメラの目の前で見せてくれました。

それは現役の政治家から依頼を受けたネットのアンケートです。得票数を増やしてほしいという依頼でした。

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