世を騙し「1日で500万円」を荒稼ぎした男の告白 フェイクニュースは今や選挙や株価を左右する

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独自に開発したスマホ用のアプリの操作を始めます。このアプリは表向きこそ「いいね」や「コメント」の数を勝手に増やしてくれるという仕様になっています。しかし本当の目的は、フェイスブックとこのアプリをつなげ、「本物のアカウント」を乗っ取ることです。

管理者は利用者のアカウントを自由に操作して、「いいね」や「コメント」をつけることができます。このとき、本物のアカウントを使っているため、削除されることはないのだそうです。そして、このサービスにはメキシコだけでなく、ドミニカ共和国やボリビア、ペルー、アルゼンチンなど海外の政治家からの依頼も舞い込んでいます。

メルロ氏の会社が選挙にどのような影響を与えたのでしょうか。私たちがインタビューしたのはフェイクニュースの拡散について分析をしているアルベルト・エスコルシアさんです。アルベルトさんが注目したのはメキシコ国内で大きな話題になったという1つの記事です。

メキシコ国民に影響を与えた仕掛け

それは「ベネズエラのチェベス氏と大統領候補がつながっていた」というフェイクニュースです。

拡散のきっかけとなったのは、メルロ氏と一緒に仕事をしていたアカウントによるツイートです。この仕掛け人のツイートを、メルロ氏らが動かせるアカウントで一斉に拡散します。ネットで話題になっていることに気づいた市民が、さらに拡散。ついにはテレビ局などのメディアが取り上げるまでになったのではないかと分析しています。

結果、4000万回もツイッター上で見られました。アルベルトさんは「何も起きていないのに、大事のように見せかけるというのが、彼らの手法です。一般市民は、お金がある人によって操作されます。これからはデジタル絶対主義の時代がやってきます。最悪な事態はこれからなのです」と警鐘を鳴らします。

このようにフェイクニュースを拡散してきたメルロ氏は、社会への影響について、以下のように語っていました。

「仕事に関して後悔したことは1度もありません。それは無責任なのかもしれません。

しかし、SNSのユーザーは無責任に何かをシェアしたりしていました。人々が文章をもう1分だけでも読んでいたならば、私が投稿したものであったとしても、多くのフェイクニュースは何も影響を与えることはできなかったでしょう。

みんながもう少し早くに気づいていたなら、このようなことは起こらなかったのです。ですから、これは自然に起こったことなのです」

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