「マナー」が難関私立中の入試で問われる理由

家庭で身に付けておきたい学習の土台とは

拙著『未来につなぐ中学受験』でも詳しく述べていますが、私が学園長をつとめる希学園では、初めて見る問題でもその場で考え抜ける子どもに育てることに主眼を置いています。これがまさに難関中学校の入試で求められていることでもあります。

中学校側はただ勉強ができるだけでなく「自分の力で考えて行動できる子ども」に入学してほしいと思っており、それが入試問題にも表れているのです。

わかりやすいことでいえば、用意された複数の選択肢から1つを選ぶ選択式の問題は大幅に減り、問いに対する答えを自分の言葉で記述する必要がある記述式の問題が着実に増えています。

このような「自分で考える」問題に対応できる学力を伸ばすためには、もちろん学習の積み重ねや、経験値を増やしていくことも大切です。

しかし、学力を伸ばすためのベースとして最も大切なのは、集団生活の中でのマナーやルールを守ること、つまりご家庭や学校での「しつけ」の中にあります。ここではその理由の一端をご説明します。

ルールやマナーの順守は中学受験でも問われる力

子どもは感情のままにやりたいことをしてしまいがちですが、多くの人がいる状況での勝手な行動は、迷惑になり、周りの人の居心地も悪くさせてしまいます。そうした状況を生まないために、世の中にはルールとマナーが存在しているのだと、私は常日頃から子どもたちに伝えています。

そして大切なことは、子どもたちが目指す中学入試でも、ルールとマナーを守る力が問われているということです。

問題文に書いている内容を自分勝手に解釈したり、自分が思うままの答えを書いたりしても決して正解にはなりません。しかも制限時間というルールも破ることはできません。決められたルールとマナーを守れるかどうかで、合否の判定が下されているのです。

また、「学び」は必ず人を通じて行われるものです。人と人の関係を大切にできなければ、学びを深めることはできません。

もちろん自分自身の努力で深めたり高めたりできる学びもありますが、小学生にとっては、先生や友達といった他人を通じて刺激を受けながら学んだことが、成長において非常に大きな要素になります。

先生や友達との関係をどのように構築できるかが学習効果にも大きく影響しますし、その関係構築には、人間関係のスタートである「あいさつ」や、人間関係を円滑にする「時間を守る」といったルールの厳守、「駅や電車内では他人に迷惑をかけない」といったマナーの徹底は非常に重要なのです。

そういった人間関係を大切に維持していこうと思えば、さまざまな場面で物事への心配りもできなければなりません。

例えば、学校や塾の教室では机と机の間の通路は狭いことも多いですが、人が通るためのものです。通る人の邪魔にならないよう、カバンなどを整理整頓しておかなければならないのですが、多くの子どもたちが通路の真ん中にカバンなどをポーンと置きっぱなしにしています。それは通る人のことを考えていないということです。

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