三井住友FGが直面する資本政策上の悩み、三菱UFJ巨額増資への追随はあるか?
また、将来はグループに取り込みたいと思っていた中央三井トラストホールディングスと住友信託銀行が11月に統合を発表し、三井住友FG傘下には入らないとの意思表示をした。これに代わる新たな材料はなかなか見つからない。また、三菱UFJFG同様、これで最後の増資、という打ち止め感も出せない。
バーゼル自己資本比率規制の強化の内容としては、従来のTier1(中核的自己資本)のうちの大半を、普通株と利益剰余金で構成されるものとする、との方針が決まっている。そこで、現在のTier1(中核的自己資本)から、損失吸収力や配当が制限できるかなどの点で資本性に劣る優先株や優先出資証券などのハイブリッド証券を控除した、「コアTier1」の数字が話題となっている。邦銀は、10年前の日本の金融危機後の不良債権処理で資本が毀損する中で、こうしたハイブリッド証券での調達を進めたという経緯がある。そのため、コアTier1の議論では非常に不利な立場だ。
実際に求められる資本の水準や質の中身、たとえば、繰延税金資産が控除されるのかされないのか、などの詳細が決まっていないうえに、新規制への移行は「景気が回復することを前提に2012年」とされている。
ただ、すでに欧米の大手金融機関はコアTier1のリスクアセット(資産にリスクに応じた掛け目をつけたもの)で8~9%を達成している。三井住友FGのコアTier1は9月末で5.9%で、みずほFGの4.36%よりは高いが、三菱UFJFGの6.83%よりは低い。欧米の金融機関は資産側に潜在的な損失を抱えており、足元の議論がそのまま実現するかはまだわからないが、国際市場での外貨調達や案件獲得のうえで、邦銀にとって不利な状況となる可能性もぬぐい去れていない。
(大崎 明子)
《東洋経済・最新業績予想》 (百万円) 経常収益 業務純益 経常利益 当期利益 連本2009.03 3,552,843 ・・ 45,311 -373,456 連本2010.03予 3,100,000 ・・ 490,000 220,000 連本2011.03予 3,400,000 ・・ 600,000 300,000 連中2009.09 1,566,910 ・・ 222,225 123,540 連中2010.09予 1,650,000 ・・ 250,000 130,000 ----------------------------------------------------------- 1株益¥ 1株配¥ 連本2009.03 -497.4 7020 連本2010.03予 219.9 90 連本2011.03予 299.8 90 連中2009.09 128.1 45 連中2010.09予 129.9 45
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら