三井住友FGが直面する資本政策上の悩み、三菱UFJ巨額増資への追随はあるか?
国際的な資本規制を背景に、三菱UFJフィナンシャル・グループが1兆円の巨額増資に踏み切ったことで、他の2メガバンクグループが追随するかどうかが注目されている。
三井住友フィナンシャルグループ(FG)は、12月22日までは前回の増資後のロックアップ期間に当たるが、それが過ぎればルール上は増資が可能となる。ただ、すぐに追随するかどうかは疑問だ。
バーゼル自己資本比率規制における資本の「質」の議論が急浮上してきたため、三井住友FGは前2009年3月期末に繰延税金資産を大幅に取り崩した。その一方、今年6月には日興コーディアルグループ買収のタイミングに合わせて公募普通株増資に踏み切った。ちょうど、株式相場が全般に上昇していたときでもあり、発行価格は3928円となり、8000億円の予定を超す8610億円が調達できた、というのが前回の増資の“戦果”だ。
これは、1カ月後、相場の弱い時期に調達したみずほフィナンシャルグループ(FG)とは明暗を分ける形となった。しかしながら、三井住友FGの株価はその後ずるずると下げてきており、そうした状態で、前回の増資から短期間のうちに希薄化を招く再増資を行うことは、前回の増資で買った投資家の怒りを買う可能性は高い。
足元の経済環境が悪く、目先の利益成長が見込めないうえに、増資を正当化する新たなエクイティストーリーが描きにくいからだ。
6月の増資の際は、日興買収と合わせて、法人証券で合弁をつくっていた大和証券をも巻き込み、野村に匹敵する証券会社をつくるという、三井住友FGらしい攻撃的なストーリーを描いて見せた。だが、その後、大和証券グループ本社の鈴木茂晴社長が首を縦に振らず、合弁解消という事態になってしまった。