関電をむしばんだ原発事業「共犯関係」の呪縛 報告書で判明した金品授受と見返りの実態

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便宜供与そのものにはかかわらなかったものの、今回の不祥事発覚で引責辞任に追い込まれた岩根元社長は、豊松氏ら原子力事業本部幹部の処遇で決定的な間違いを犯した。

2018年2月の金沢国税局による吉田開発への税務調査を発端として、豊松氏らにも事情聴取が実施され、同氏ら原子力事業本部の4人の幹部が追加納税(追徴課税)を行った。

社内処分どころか昇進させた

ところが、社長だった岩根氏らは、翌2019年6月の株主総会後の人事で、森中常務執行役員原子力事業本部長代理(肩書きは当時)ら3人の原子力事業本部幹部を、社内処分するどころか副社長や常務執行役員等に昇進させた。

豊松氏は副社長を退任したが、エグゼクティブフェローとして副社長の基本報酬を上回る月490万円の報酬が約束された。その中には、追徴課税分の補填として月30万円、経営不振時の役員報酬カットに対する補填として月90万円も含まれていたと第三者委報告書は指摘している。

こうした経緯について第三者委報告書では、「森山氏対応に尽力したにもかかわらず、修正申告となった豊松氏ら4名が気の毒であることから、会社として面倒を見るべく……役員を退任してから5年間かけて会社が負担することが決まったため」と詳述されている。

岩根元社長は一連の金品受領問題について取締役会や株主総会に報告しなかったばかりでなく、八木元会長とともに独断で豊松氏らへの補填を決定した。

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