関電をむしばんだ原発事業「共犯関係」の呪縛 報告書で判明した金品授受と見返りの実態

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もっとも、第三者委報告書によれば、個々の金品提供は、個別の発注要求や発注との関係が明らかにならないタイミングでなされているケースが多く、会社法の贈収賄の立件は困難だと但木委員長は記者会見で述べている。

その理由として報告書は、「上場企業である関電の役職員が個別的な買収工作に簡単に応ずるとは思えない」と記している。

森山氏の手法はむきだしの贈賄工作ではなく、「ひとたび自分(=森山氏)が工事等の要求をすればこれに関電の役職員が応じざるをえないような仕組みを維持するために、換言すると、そのような意味において関電の役職員を自己の支配下に置くために、関電の役職員に対して長期間かつ多数回にわたり多額の金品を提供し続けてきたものと認めるのが相当である」(同報告書)。

森山氏と関電幹部は「共犯関係」

森山氏による金品提供の発端は1987年の助役退任直後にさかのぼる。「柳田産業を頼む」と、森山氏は自身が相談役に就任した同社への便宜供与を、当時の大飯原発所長に依頼した。それ以来、便宜供与の要求および見返りとしての金品提供は連綿と続いてきた。

森山氏や工事業者からの金品受領が多かった幹部を順に並べると、鈴木氏(合計70回以上、1億2000万円相当)、豊松氏(合計40回以上、1億1000万円相当)、森中氏(合計4000万円相当)などとなっている。

そうした経緯を踏まえたうえで報告書は、豊松氏らによる金品の受領は「いかなる経緯・事情があろうとも絶対に社会的に許容されない次元の規模であり、それゆえ、絶対に森山氏との関係を露見させてはならないという強力な足枷として機能したことは想像に難くない」と記している。そのうえで第三者委報告書は、森山氏と関電幹部との関係を「共犯関係」ととらえている。

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