それに伴い、協力的だった身近な人間関係に感情的な反目が生じるケースも多く出始めます。例えば、学校が一斉休校になり、仕事を休めない親のお子さんを、仕事が休みになったご家庭が、子ども同士が仲良しだからという理由で日中預かったとします。
最初は、少しでも役に立てるなら、自分の子どもも喜ぶし、遊び相手がいることで自分も助かるという気持ちで引き受けたかもしれませんが、いくら簡単な昼食やおやつを出すだけといっても、毎日のこととなれば疲れも生じてきたり、お互いに遠慮がなくなりトラブルがいつ起きてもおかしくない状況になってきます。
トラブルが起きると、そのまま関係を断つというようなことにもなりかねません。このように、組織やコミュニティー内でも軋轢が生まれ、分散化が表れ始め、つながりが薄れ孤立感を深める人も増えていきます。みんなで頑張ろうという時期を過ぎると、次の問題が表面化しやすくなるのです。
また、状況に順応し始めた人たちへの嫌悪が生まれやすくなります。
例えば、つらい気持ちを話した相手から「仕事がなくなるのはみんな同じ、みんな大変なんだから我慢しましょうよ」「出勤してるの? テレワークに切り替わらないの?」と言われたらどうでしょうか。あなたは大丈夫かもしれないけど、私は切羽詰まっている、とますます不満や反発感を募らせることになります。行き場のない気持ちを抱えやすくなるのです。
先が見えないからこそ、不満のはけ口を求めてしまいがちで、身近な人のちょっと自分と違う「環境や考え方、行動」が許せない気持ちになったりします。先が見えない不安に加え、身近な人間関係が不安定になることは、ぜひとも避けたいところです。
そんな中、身近な人間関係にひびを入れないための関わり方をいくつかご紹介します。
これらは、相手のことをその他大勢と同じと捉え、一般化する表現です。確かにみんな大変だとは思いますが、一人ひとり事情は違います。相手の状況や気持ちを一般化しないことが大切です。
典型的な強制表現です。相手を追い詰めることになるので、避けましょう。もしかすると、子どもにこのように声かけしてしまう方も多いのではないでしょうか。
私は、こんなに大変。あなたは、○○だけまし。人の幸・不幸感は、人と比較することから生まれることが多くあります。自分よりも不幸な状態と比較し、それよりもよい(まし)という考えは、自分自身を納得させるために必要な場合もありますが、他者からの発言は単なる押し付けになります。つらさや不安を理解しない発言です。
心に寄り添う言葉かけが必要
相手と関わる機会が生じたときには、相手の状況や気持ちをそのまま受け止めていくことが大切です。
相手がアドバイスを求めていることは少なく、つらい状況をわかってほしい、誰かに自分の気持ちを聞いてほしいという思いで関わりを持つことが圧倒的に多いです。
「そうなんだね」「そんなことがあるんだね」「○○な気持ちなんだ」という共感が求められます。否定や反論されずに気持ちを話すことは、カタルシス効果(心の浄化作用)を生み、次の行動エネルギーを生み出します。身近な人間関係が良好なことこそが、ご自身のストレスマネジメントを可能にし、第4段階、回復のエネルギーにつながります。
長く続けば忍耐との勝負になってくるかと思いますが、いずれ状況は変化します。大切なものを見失わないよう、周りとの関係性を改めて考えることも大切です。
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