成績がぐんと伸びる子が持っている2つの「力」 難関中を目指すなら学力より先に習得したい

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勉強以外のお稽古ごとも、4年生や5年生で続けてもらっていてもまったく構いません。むしろ、前述のように何かに「のめり込む」感覚を養っていくためにも、経験を増やすという意味でも、続けていただくべきだと思います。

しかし低学年の頃に比べると、少し減らす必要はあるでしょう。というのも、わざわざそう促す必要があるくらい、最近の低学年の子どもはたくさんのお稽古ごとをしています。月曜日はそろばん、火曜日は水泳、水曜日はピアノ……と。それに塾も加わるとなると、遊び時間の確保すらなかなかままなりません。

そして6年生からは、塾以外のお稽古ごとはいったんお休みしていただくことをおすすめしています。本格的に中学受験を目指す子どもたちは、やはり塾に通う日数も増えますし、勉強に必要な時間も増えます。中学受験が終了したあとに、またやりたいことを再開するのが一般的です。

「では3年生までの塾は?」という質問が来そうですね。もちろん、私が運営している塾でも1年生から学んでいただける環境を用意していますが、私の意見としては、やるとしてもお稽古ごとのひとつとして算数1科目だけやってみる、というくらいの感覚で十分なのではないかと考えています。

小学校低学年のうちは、塾通いよりも「のめり込む力」を養う経験をする機会を優先するべきでしょう。

やみくもに芽を摘んでしまってはいけない

もちろん受験勉強に本格的に取り組みはじめる時期が遅れると、勉強に費やせる時間が減るのでハンディにはなります。

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ただ、6年生の夏頃までスポーツなどの勉強以外のことに熱中し続けた子どもが、それに区切りをつけて受験勉強に気持ちが向いた途端に、ものすごい伸びを見せて見事合格を勝ち取った例は数多くあります。

中学受験をするつもりでも、数を絞ったお稽古ごとであれば6年生の夏まで続けるのは不可能ではなく、子どもが切望するならやらせてあげるべきだし、結果として粘り強さを育てることにつながり、中学受験での成功につながる可能性も十分にあるということです。

子どもが徹底的に追求できる好きなことがあるなら、大切に続けさせてあげるべきでしょう。

この点に関しては、親と子がしっかりと話し合い、悔いが残らないように決めてください。そのとき、「勉強優先にすれば悔いが残らない」というわけではない、ということが私からのアドバイスです。

黒田 耕平 希学園学園長

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くろだ こうへい / Kouhei Kuroda

1975年兵庫県伊丹市生まれ。大阪大学在学中より塾講師業に携わり、希学園の算数科講師として、灘中をはじめとした最難関中学校へ多数の合格者を輩出。2009年より希学園学園長に就任した後も、経営トップと二足のわらじをはきつつ、低学年から灘中受験を目指す6年生まで幅広く授業を担当。自ら生徒指導の第一線に立ち続けながら、塾生に一生懸命にやりきることの大切さとその先にある合格・成長の喜びを伝え続けている。著書に『未来につなぐ中学受験』(クロスメディア・パブリッシング)。2015年より神戸新聞にて教育・受験コラムを連載中。

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