成績がぐんと伸びる子が持っている2つの「力」 難関中を目指すなら学力より先に習得したい

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拙著『未来につなぐ中学受験』でも詳しく述べていますが、このような姿勢が身につくかどうかは、大人の接し方が大きく影響します。子どもを「大人の枠」にはめようとせずに、子どもが興味や関心を持ったことに没頭する様子を温かく見守ってあげられるかどうかにかかっているのです。

とくに幼い頃は、子どもにとっては身の回りのすべてが未知の世界です。「なぜ?」と聞いてくる子どもの興味をどれだけ大切にしてあげられるか、さらに、たとえ親として望むものではなくても、子どもが興味を持って熱中しようとするときに温かく見守って共感してあげられるかどうかが重要なのです。

大人が子どもの興味の芽を摘み取っている

よく「うちの子どもはなかなか初めてのものに興味を持たないんです」という保護者の方がおられます。

しかし、本来子どもは、好奇心の塊です。おそらく、子どもは知らないことやわからないことがたくさんあって、「これは何?」「なぜこうなるの?」とクエスチョンマークがついている状態だったのに、「今は忙しいから」「そんなこと知っても賢くならないわよ」「そんなことよりも勉強しなさい」などと、大人がそのクエスチョンマークを拾うことなく断ち切ってしまったことで、興味の芽を摘み取ってしまってきたからではないでしょうか。

大人がこのような対応をしてしまうと、興味を持つことの意義や面白さが満たされることはなく、結果的に「なぜ?」を大切にする心が育たないのです。

ですから好奇心の塊であるという状態をいかに持続させるかが、保護者の方の腕の見せどころであり、強く意識すべきところです。

新たな発見を目指し続ける学者や研究者と呼ばれる方々は、皆「なぜ?」と問い続け、大人になっても突き詰め続けています。おそらくそういう方々は子どもの頃から、大人から興味の芽を大切に見守られ、「なぜ?」を大切にしてもらえたからこそ、学者や研究者としての能力や適性が育まれたのでしょう。

これは幼い頃だけに限った話ではありません。小学生になってからでも、塾での勉強を通じてでも、その機会は数多く存在します。

では、「粘り強さ」はどのように鍛え、育てていくのでしょうか。これは勉強を通じて伸ばそうとしても、なかなかうまくいくものではありません。

私は自分が大好きで熱中したい事柄に対して集中する経験を通して、まずは「粘り強さ」そのものを鍛えていくのが大事だと考えています。

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