トイレ紙とティッシュ「実売値」に見た凄まじさ デマを発端とした買い占め狂騒曲のリアル

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ネット通販の各社とも、マスク、アルコール消毒液、トイレットペーパー等の便乗値上げや、不正な転売を防止するよう試みている。実際にマスクなどは、国民生活安定緊急措置法によって転売を禁止された。

リアル店側は「お1人様1つ」などと、購入規制をかけている。そこで、最後に便乗値上げはあったのか確認したい。前述のとおり、このデータはドラッグストアのPOSデータを元にしている。

それぞれ2月最終週に購買が急増した際の平均売価と、その購買急増が見られる前の12週間の平均売価、24週間の平均売価、とそれぞれ比較した。

(1)トイレットペーパーの平均売価
販売ピーク前の12週間との比較:1.03
販売ピーク前の24週間との比較:1.03
(2)ティッシュペーパーの平均売価
販売ピーク前の12週間との比較:1.03
販売ピーク前の24週間との比較:1.03
(3)生理用品・用具の平均売価
販売ピーク前の12週間との比較:1.00
販売ピーク前の24週間との比較:1.00

ほとんど便乗の値上げはなかった

トイレットペーパーやティッシュペーパーは3%のみの上昇、生理用品・用具に至っては変化していない。なお、トイレットペーパーと生理用品に関しても、やや価格帯が高めの商品が売れ、それによって全体の平均売価を引き上げる動きもあるため、ほとんど便乗の値上げはなかったといっていい。

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巷間では、ドラッグストアの客が店員に対して、品切れを責めたり暴言を吐いたりするケースが散見されるという。しかし、販売側のドラッグストアは値上げもせず、これまでの単価なみで販売を続けてくれている。冷静にならないといけないのは、私たち消費者というわけか。

坂口 孝則 未来調達研究所

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さかぐち・たかのり / Takanori Sakaguchi

大阪大学経済学部卒。電機メーカーや自動車メーカーで調達・購買業務に従事。調達・購買業務コンサルタント、研修講師、講演家。製品原価・コスト分野の分析が専門。著書も多数。

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