コロナ対策で支援すぐ広がる「アメリカ」の強さ ハイリスク層や貧困層向けの支援が次々と

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ワシントン州シアトルでも学校や映画館、飲食店などが閉鎖している(写真:REUTERS/Brian Snyder)

世界中で猛威を振るう、新型コロナウイルス。アメリカでも3月11日にWHOがパンデミックス宣言、そして13日にドナルド・トランプ大統領が国家緊急事態宣言をしたことで、危機意識が一気に高まった。

「世の中が1日単位で違う世界に変わっていく」――。国家非常事態宣言が出されてから、まるで映画でも見ているかのような錯覚に陥る1週間だったが、そんな混乱の中でも感心せざるをえないのが、単にパニックに陥るだけでなく、困った人を助けようとする支援システムが次々と立ち上がるアメリカの「底力」だ。

人々は意外と落ち着いている

筆者の住むシアトル近郊は、アメリカにおける新型コロナウイルスの「グランドゼロ」だ。シニア向け施設でクラスターが起こり、次々に死者が出てしまったことも影響し、アメリカ国内では「ワシントン州は危険な場所」という認識が広がった。

アマゾンが早々にリモートワークを徹底させたこともあり、ダウンタウンは3月上旬にはガラガラに。人けのないゴーストタウンのような状態の街の写真がソーシャルメディアで拡散され続けたことも手伝い、危険地帯という印象は不動のものになってしまった。

しかし、そのゴーストタウンの住人たちは、意外に落ち着いている感もある。ほかの国と同様、トイレットペーパーを買い求めたり、物資調達のために人が殺到し、スーパーには長蛇の列はできているものの、パニックという感じはあまりしない。むしろ、政府の声明に従い、「淡々と準備を整えている」という状況だ。

ワシントン州では、現在すべてのレストランがテイクアウト、デリバリー以外の営業を禁止されている。学校の多くは4月24日までは閉鎖に。その期間は今後長引く可能性があることも、伝えられている。こうした状況は容易にパニック状態を作りそうなものだが、政府が徹底して混雑を避けねばならない理由、会社や学校を閉鎖すべき理由を毎日伝え続けていることが、混乱を最小限に抑えることに役立っているようだ。

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