「人の流れを限りなく限定しながら、多くの人を助けることは至難の業です。私の教会ではボランティアには検温や健康チェックシートを毎日記入してもらったうえで、CDC(疾病対策センター)のガイダンスに従った徹底装備でボランティア派遣を手伝っています。長期化が懸念されているので心配はありますが、毎日数時間でも手伝いたいという人が絶えず連絡をくれることは、何よりの救いです」
一方、学校はこの混乱にどう対応しているのだろうか。
今回の件で、アメリカでもいちばん大きな課題になるのは、子どもの教育だと言えよう。日本も学校の臨時休校が実施されているが、アメリカでも学校閉鎖は子どもを抱える親にとっては、困った問題の1つである。
アメリカは日本のように、子どもを残して親が会社に行くことは考えにくい。ほとんどの州で、13歳以下の子どもを残し、大人が外出することは違法だからだ。幸いワシントン州に限っていうと、多くの企業が完全リモート就業に切り替えているため、親も子どもと一緒にいられるケースが多いように見えるが、それでも働かねばならないシングル・ペアレントたちにとっては、学校閉鎖は死活問題に直結してしまう。
ホームスクールに切り替える人も
そうした人たちを救うためにも、さまざまな慈善団体が動いてはいるが、正直なところ「まだまだ間に合っていない」というのが正しいだろう。各学区が保健所や病院などとの連携のもと、チャイルドケアも用意しているが、保護者が入院中や病気という場合など、特別なケースが優先されるため、多くの片親たちはこの制度を使うことができない。
授業は公立の場合は「自習」が前提で、オンラインで学べるリソースは提供されているが、それは正規に「授業を受けたこと」にはカウントされないので、今後学年をまたいで「前の学年で学ぶはずだったこと」を履修しなければならない事態が想定されるなど、問題、課題は山積みだ。
そう言っているうちに、カンザス州では8月まで学校を閉鎖することが決定。カリフォルニア州も今期の学校再開は絶望的というニュースが飛んできて、状況は次々に変わりつつある。こうしたことを考え出すと、子を持つ親としては、ため息しか出ない。
一方、ホームスクールという「学校へ通学することなしに自宅で学習して、正規の学校教育に代える教育」が社会に浸透しているアメリカでは、これを機に子どもの教育をホームスクールに切り替えるという動きも見え始めている。
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