コロナ対策で支援すぐ広がる「アメリカ」の強さ ハイリスク層や貧困層向けの支援が次々と

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同州のコロナウイルス対策は、かなりドラスティックでスピーディーであった。トランプ大統領の国家非常事態宣言ももちろんだが、州知事のジェイ・インスリーの「有無を言わせず、人と人との接点を減らす政策」については、正しいと評価する人も目立つ。

その効果からか、「このウイルスには特徴があり、必ずしも感染者全員が重症化するわけではないこと、そのため中には無症状のまま知らずに周囲に感染を広げてしまう人がいる可能性は否めないこと」は、すっかり市民に浸透した共通理解になっている。だから理由なく外出し、出歩こうという人は少ない。

アメリカはキリスト教で回っていることを実感

市民の反応も「高齢者、妊婦、基礎疾患保有者ら、ハイリスクに入る人々の命を守るために、いちばん大事なのは無症状なだけかもしれない自分自身が家にいること」という意識が当たり前に。

そのうえで混乱をしずめるために「今自分たちがすべきことは何か」を自らに問い、個人・企業ともに自主的に感染拡大を防ぐ対策を導入し出したり、経済的打撃をダイレクトに受ける貧困家庭などへの支援ネットワークなどが、あちこちにあっという間に出来上がっていくさまは、感動すら覚えるほどだった。

企業・市民が自主的に行っている感染拡大防止や経済打撃支援活動の一例
① ホールフーズ・マーケットや、セーフウェイなどの大手スーパーによる、高齢者、妊婦、ハイリスクにある人のみが買い物ができる時間の導入
② フードバンクなど、傾向的に高齢者ボランティアが多い非営利団体への人材支援(大学生などが中心となり働きかけをし、サポート体制を切り替えている団体も多い)
③ シングルマザーや貧困家庭のための食料支援(寄付金を集め、複数のレストランオーナーが無料朝食や昼食を市内の複数ピックアップポイントで配布)
④ アマゾンなど企業による個人経営の小さな会社やレストランなどの救済基金設立

この有事は改めて、アメリカの大半がキリスト教で回っていることを実感させてくれる機会にもなっている。教会コミュニティーの結束は強力だ。

誰かが何かの支援をしようとすると、そこには寄付が自然と集まるし、日曜の礼拝など教会の活動自体は自粛されているものの、機能しなければ困るような非営利団体などの人材不足を埋めるために、教会のボランティアが率先して、人材確保のサポートに乗り出しているのも注目すべき点だろう。

先に記したように、アメリカでは傾向的に、高齢者のボランティア人員比率が高い組織が少なくない。しかし彼らは今や、アメリカにおいては誰よりもまず「自主隔離」すべき人たちだ。

フードバンクに始まり、動物愛護協会、フォスター協会など里親組織などにおいては、60歳を超えるボランティアが90%を占めるという場所もある。人や動物の命に関わる団体は、こんなときでも休むわけにはいかないし、高齢者ボランティアの穴は誰かが埋めねばならない。そんな団体の支援を行っている1人、ミッシェル・ワーナーさんは言う。

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