「自粛」とのジレンマで緊急経済対策は効果薄い 政府は米国や日銀との「協調」をアピール

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政策の費用対効果の面だけを考えれば、「自粛」が終わった段階で消費喚起策を行うことが効果的といえる。しかし、今回は新型コロナウイルスの感染拡大に対する国民の「不安」を解消させる必要があるという政治的な意味合いに加えて、グローバルな「協調」を示すことの利点が重視された可能性がある。政府は「大型の経済対策を検討しているトランプ米政権と協調して世界経済の下支えを狙う」という(日経、12日)。

3日には米国主導で主要7カ国(G7)財務相による緊急電話会議が行われ、同日にFRB(米連邦準備制度理事会)は0.5%ポイントの緊急利下げを実施。さらに、15日に1.0%の追加利下げを行った。

トランプ大統領は10日、給与減税を中心とした経済対策を議会に提案している。17日にはさらにムニューシン財務長官が「1兆ドルの経済対策を提案」するなど、金融・財政の両面で米国は積極姿勢を示している。ねじれ議会のもとではトランプ大統領が提案している大型の給与減税の実現可能性は高くないものの、下院で過半数を握る民主党の協力を得たうえで、危機対応のため一定程度の財政政策は決定されるだろう。

新型コロナウイルスの感染拡大という問題に対して金融・財政政策がどの程度の効果を持つかという疑問が残るが、日本政府としてもグローバルな「協調姿勢」を示す必要があるということが、今回の緊急経済対策の検討の背景にある。

日銀も2つの「協調」をアピール

金融政策においても2つの「協調」がテーマとなっている。

1つ目の「協調」は財政政策と同様にグローバル「協調」である。3月11日の英国中央銀行、12日のECB(欧州中央銀行)、15日のFRB、16日の日銀と、各国の主要中銀は相次いで緩和策を発表した。臨時会合を開くなどしてタイミングを合わせることで、「協調」をアピールした面がある。

2つ目の「協調」は金融政策と財政政策の「協調」である。11日には英中銀が緊急利下げを行った後、スナク英財務相が20年度の政府予算案の演説で、新型コロナウイルスの感染拡大や景気の悪化を防ぐため300億ポンド規模の経済対策を講じる方針を表明した。

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