17日に発表された2019年10~12月期のGDP(国内総生産)1次速報によると、実質GDP成長率(季節調整値)は前期比マイナス1.6%(同年率マイナス6.3%)と、前回の消費税率引き上げ時の2014年4~6月期(前期比年率マイナス7.4%)以来の大幅なマイナスとなった。民間最終消費支出が前期比マイナス2.9%と、同じく2014年4~6月期(前期比マイナス4.8%)以来の大幅なマイナスとなったことが主因だ。
もっとも、今回は輸出がマイナス寄与となっているなど、前回の増税時と比較しても内容が悪い。また、2020年1~3月期以降は新型コロナウイルスの感染拡大の影響が日本経済の重しとなるだろう。筆者は今回の感染拡大がなかったとしても、個人消費と外需の低迷によって2020年度の成長率は前年度比プラス0.5%程度にとどまるとみていた。感染拡大が2020年央まで継続した場合はマイナス成長となる可能性がある。
今回のコラムでは訪日外国人数(日本政府観光局では「訪日外客数」として公表)の統計から想定されるインバウンド消費の減少の影響と、全国で日本人の旅行キャンセルといった動きも生じる中、日本人の消費が減少する影響の両面を試算した。
訪日外国人の減少が続く
19日に発表された1月の訪日外国人は266.1万人(前年同月比マイナス1.1%)となった。1月下旬に流行が始まった新型肺炎(COVID-19)の影響を見極めるうえで注目された中国については、92.48万人(同プラス22.6%)となった。昨年は2月だった春節(旧正月)が今年は1月から始まったため、前年同月比では大幅なプラスとなった。ただし、新型肺炎の影響がなければ、プラス幅はもっと大きかったはずである。なお、マイナス幅が大きかったのは日本との関係が悪化している韓国からの訪日数だった(同マイナス59.4%)。
もっとも、1月27日以降、中国政府は日本を含む海外への団体旅行を禁止しており、2月以降の訪日外国人が減少する可能性が高い。報道ベースでは、春節期間中の中国人旅行者の概数が出ており、成田空港が3万3900人と前年比マイナス22%(東京新聞)、新千歳空港が1万9100人と同マイナス32%(北海道新聞)、関西国際空港が5万2500人と同マイナス28%(毎日新聞)となっている。春節期間だけを取って見ると、中国からの訪日外国人は減少したとみられる。
2003年にかけて感染拡大が広がったSARS(重症急性呼吸器症候群)時の訪日外国人は、感染拡大が本格化した後の4月に前年同月比マイナス23.1%、5月に同マイナス34.2%と5月をピークに大幅に減少した。その後、7月にWHO(世界保健機関)からSARSの終息が宣言されており、8月以降の訪日外国人はプラスに回復した。今回も同様の推移をたどる可能性がある。
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