生徒を自殺に追いやる「スパルタ部活」の深い闇

「逃げ場のない状況」が子どもの心を摩耗する

運動系(スポーツ)に関しては、そもそも学校の選択コースではなく、市がやっている地域のクラブに入るというのが一般的です。ミュンヘンに住んでいるならミュンヘン市のサッカークラブに年齢やレベル別に入るという形です。

スポーツをする場所が学校以外であることのメリットは、やはり「気楽さ」にあると思います。人間関係がこじれても、学業には影響がないという安心感というのでしょうか。

「学校」という場と「それ以外の活動」を分けるという考え方は、確かに「ドライ」ではありますが、「1日の活動がすべて学校で行われる」という状況よりも気は楽なので、結果として健全です。昭和ながらの考え方の人には「甘い」と言われるかもしれませんが、子どもも「逃げ場」があったほうが輝けるというものです。

部活で「過労自殺」した生徒もいる

「逃げ場がない」といえば、千葉県柏市のある高校に通っていた高校2年生の男子生徒が部活での過労が原因で自殺した可能性があるとして、医師や弁護士らの第三者委員会が設置されたことが2019年12月に報じられました。

男子生徒は吹奏楽部に所属していましたが、父親によると部活で平日は7時間、土日祝日は12時間練習しており、高校2年生になってから休みが2日間しかなかったとのことです。

当校の吹奏楽部は全国大会の常連校で金賞も多く獲得しているのですが、この練習時間はもとより生徒が死亡したことを考えるとブラック部活だと言わざるをえません。

先日、ある人と話していたら「この吹奏楽部には200人いて死んだのは1人だから、彼がただ弱かっただけじゃないか」と言われましたが、これではまるで死んだ人に非があるかのようです。日本ではよくこの手のことを言う人がいますが、「みんなは平気だから死んだその人が特別」という発想は、「ブラック思考の典型」だということをここに申し上げておきます。

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