生徒を自殺に追いやる「スパルタ部活」の深い闇

「逃げ場のない状況」が子どもの心を摩耗する

その一方で、部活というものに対する考え方が根本的に間違っていると感じることもあります。

例えばひと昔前などは堂々と、「部活をやらないと子どもが時間を持て余して非行に走る」という論を語る人がいました。今でもその考え方は残っており、難しい年頃の子たちはとにかくシゴいて疲れさせておけば悪さはしないだろう、という現代の先進国の教育者とはとても思えない考えの人もまだいます。

「疲れさせておけば(組織に対して)忠実でいてくれるだろう」という発想はまるで参勤交代の時代のようです。未成年とはいえ、思春期の年齢の人間を個人として尊重していれば、「空き時間を使ってロクでもないことをするに違いない」などとハナから決めてかかることはないでしょう。

実際には、人間は十分な休息がとれて自由な時間があるからこそ、自発的に「これをやってみたい」という気持ちになったり、自分の好きなことを見つけることができるわけです。八村選手のような出会いが部活であればいいのですが、そうでない場合はどうしても「上からやらされている感」がついて回ります。

部活で追い詰められる子どももいる

ブラックやスパルタでない限り「学校で部活」には私も賛成ですが、それでも部活をやることのデメリットは確かにあると思っています。そのデメリットとはひと言で表すと、「逃げ場がないこと」です。部活での人間関係が上手くいかないと、追いつめられ不登校になる子もいます。部活は学校の中で行われるため、そこでの人間関係が直接クラスでの人間関係に影響するわけです。

ドイツの学校でも部活に入ることはできますが、入る生徒が少なくかなりマイナーです。これは「選択コース」(Wahlkurs)というもので、写真部だったり演劇部だったりするのですが、入部は強制でないのはもちろん、選択コース自体が学校の中であまり知られていないため、入る生徒が少ないのです。やはり「授業以外で学校にいるのは嫌」と考える生徒が多く、この選択コースを実際に受講している生徒はあまりいません。

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