「自分を不幸にする人」が陥りがちな思考のクセ コロナ騒動でも暴発する「不安」の正体

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アラン的にいえば、悩みから解放されたいなら「ピンを見つけなさい」ということになります。あなたをチクチクと刺している「ピン」はなんなのか。それはどこに隠れているか──。幸福になるために大切なのは、不幸の原因を見つめ、対処法を見つけることだ、とアランはいっているのです。

「人がいらだったり、不機嫌だったりするのは、しばしばあまりに長く立ち通しだったせいである。そんなときは、その人の不機嫌に対してあれこれ理屈をこねるのではなく、椅子を差し出してやるがいい」(本書より)

やや拍子抜けするようなアドバイスです。しかし、不機嫌の原因を突きつめると、心の問題というより身体の問題だったということは少なくありません。「いまは疲れているからイライラするのだ」と本人が気づいていればいいのですが、そうとも限らない。思いが至らず、家族に当たり散らしてしまった、というようなことはよくあることです。その結果、家族全員が不幸になってしまっては、元も子もありません。

アランは、日常的に自分の感情をコントロールすることをすすめています。気分をリラックスさせるために、意識的にあくびをするとか、背伸びをするとか、簡単なことから始めるとよいといっています。

「情念」をコントロールせよ

「心のうちにある、理性的には片づけられないもの」を「情念」と呼びます。その分類は哲学者によって異なりますが、「憎悪」「嫉妬」「不安」「絶望」「驚き」「喜び」「悲しみ」などです。意志で制御することが難しく、ときに人を激しく突き動かすさまざまな感情のことを指します。アランは、情念の暴走こそが、不幸の根本的な原因であると考えました。

では、暴れがちな情念を鎮めるにはどうすればよいか。アランは「意志」と「行動」が大事だといいます。すなわち、情念を意志と行動でコントロールすることこそが、アランの説く「幸福になる方法」です。

しかし「情念を意志と行動で制御せよ」と言われても、まるで修行僧のようで大変に感じられるかもしれません。そこで、「不機嫌な人には椅子を差し出せ」「あくびや背伸びをせよ」というアドバイスを、思い出してみましょう。これなら難しくないはずです。

身体の疲れやこわばりが取り除かれると、人の心はスーッと落ち着くもの。難しく考えて何もしないようでは意味がない。まずは行動に移すことが大切であるはずなのに、この真理が見過ごされがちだというのがアランの考えです。

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