「自粛」一色に泣くサイゼリヤ、踏んばる鳥貴族 コロナ騒動下でも分かれる外食企業の明暗

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ロイヤルホールディングスは売上高の45%を外食事業が稼いでいる。ただ、実は利益を最も稼いでいるのはホテル事業。「リッチモンドホテル」のブランドで、全国41のビジネスホテルを展開する。ホテル事業が売上高に占める割合は22%にすぎないが、利益面では外食事業の1.5倍を稼ぎ出しており、要の事業になっている。

リッチモンドホテルのメイン顧客は、出張で利用するビジネスパーソンなどのリピート客だ。「インバウンドの宿泊客の割合は1割台」(ロイヤルホールディングス)で、訪日客の激減による稼働率への直接的な影響は、ほかのホテルと比較すると軽い。とはいえ目下、多くのホテルが値下げに走っているため、宿泊単価の相場が下がっている。リッチモンドホテルも追随して、宿泊単価を下げざるをえず、収益を圧迫している状況である。

だがしかし、コロナウイルスの逆風にめげず、業績が上ぶれしそうな外食企業もないではない。居酒屋チェーンの鳥貴族だ。

鳥貴族では、2017年から2018年にかけて店舗数を急速に拡大しすぎたことや、2017年10月に「全品280円均一」から「同298円均一(税抜き)」へと値上げしたことが引き金となって、客数が長らく低迷。業績も落ち込んでいた。

そのため2018年後半から新規出店を凍結、自社の店舗同士で顧客を食い合って不採算となった店舗を閉鎖、既存店の客数回復に力を注いだ。それまで年2回に絞っていたメニュー改定も、だし巻き卵などの月替わり商品を投入するようにし、食材の国産100%も積極的にアピールした。

あえて上方修正せず、計画据え置いた鳥貴族

値上げから2年が経過したこともあり、既存店の客数は2019年11月から2020年2月にかけて4カ月連続で前年を上回る。加えて、部門ごとの採算管理を徹底するアメーバ経営を導入し、店舗単位での食材や人員配置を効率化したことで、利益も劇的に回復している。

3月6日に発表した2020年7月期の中間期決算(2019年8月~2020年1月)では、営業利益が13億5800万円(前年同期比3.8倍)となり、年間で13億円を見込む会社計画を中間期だけで超過する好進捗だった。

コロナショックに直面した企業の最新動向を東洋経済記者がリポート。上の画像をクリックすると特集一覧にジャンプします

鳥貴族の場合、企業の宴会利用というよりも、仲間内での少人数での利用がほとんど。主要顧客は若年層のため、「足元で客足への影響はそれほど大きくない」(広報・IR担当者)とするが、「新型コロナウイルスによる影響が最悪となった場合でも達成可能な数字」として、通期での売上高や営業利益は期初計画を上方修正せず据え置いた。

以上、『会社四季報』では、業界を取り巻く激変ぶりを丹念に取材、総合的に吟味し、1社1社、独自の業績予想を立てている。サイゼリヤや鳥貴族についても、新型コロナウイルスの影響を踏まえ、妥当と考える業績予想を打ち出した。ほかにも、「気になるあの企業」の業績予想がどうなっているか、ぜひ自身の目で確かめていただきたい。

佐々木 亮祐 東洋経済 記者

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ささき りょうすけ / Ryosuke Sasaki

1995年埼玉県生まれ。埼玉県立大宮高校、慶応義塾大学経済学部卒業。卒業論文ではふるさと納税を研究。2018年に入社、外食業界の担当や『会社四季報』編集部、『業界地図』編集部を経て、現在は半導体や電機担当。庶民派の記者を志す。趣味は野球とスピッツ鑑賞。社内の野球部ではキャッチャーを守る。Twitter:@TK_rsasaki

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