もし、あやふやな情報を基に投資をし、失敗すればこちらの損失となり、当然、その責任は僕に降りかかります。ですから、自信をもって判断できるレベルのデータを自らつかみ取れるかは、新興国でビジネスをするうえでは、何よりも重要なスキルだとしみじみ思うのです。
ついに、国境線にまで座り込む
「市場座り込み」の効果に味を占めた僕は、競合企業の工場の門前にいって、商品の出荷トラックがどのくらいの頻度で出てくるか、見たりもしました。これで、ライバル企業のビジネスにどのくらい勢いがあるか感じることができます。
さらには、近隣の国への輸出でどのくらい稼げそうか、ということを見極めるべく、国境線に丸1日座って、貿易商の女性たちがいろいろな商品を頭に積んで国境線を越えていくのを観察しました。

もし、日本で、市場に丸1日座り込む会社員がいたら、なんたる時間の無駄、給料泥棒、などと言われそうです。調査が得意な現地コンサルタントでも雇って調べさせればいい、と思う方もいらっしゃるかもしれません。
でも、アフリカでコンサルを雇ったら、ひとつの調査で軽く数百万円は取られます。それに比べたら、僕の日給など、せいぜい数万円。だったら、自分で座ろうと、腹をくくることにしたのです。
実際に流通や販売の現場に足を運べば、事務所のデスクでは予測しなかった大切な気づきが得られることも多いのです。「事件は会議室でなく、現場で起こっている」のです。
「効率第一」に慣れきった僕にとって、最初はなかなかつらい作業でしたが、“どぶ板営業”的に、青空市場に座り込んでみる。それが、西アフリカや、さらには新興国で重要なビジネス情報を得るための、いちばんの近道なのかもしれません。
※本稿は執筆者個人の意見であり、世界銀行グループの公式見解を示すものではありません。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら