
工場拡大のための設備投資が成功するかどうかは、ひとえに製品がもっと売れるかどうかにかかっています。ですので、その製品に本当に市場があるのか、成長性があるのかを見極めるためのマーケティング調査は、投資を決める前に必ずやらなければならない大きな宿題のひとつです。
東京のゴールドマン・サックスで働いていたときは、アシスタントの方に、「この業界のレポートを取ってください」とお願いすると、大手調査会社やコンサル会社のレポートがすぐに出てきて、デスクにいながら、市場がどのくらいのスピードで伸びているのか、業界各社の市場シェアなどが一発でわかったものです。
で、西アフリカに来たときも、会社にリクエストをすれば、あるいは自分でインターネット検索をかければ、そういったレポートは出てくるものだろうと思っていたわけです。
ところが、会社にお願いしても、待てど暮らせど、レポートは出てこない。そうこうしているうちに、投資決定のための審査委員会に報告を行う日が近づいてきて、あせる気持ちだけがつのります。
「意思決定に、100%正確な情報が必要かい?」
今、振り返ると、そんなレポートは最初から存在しないことに早く気づくべきでした。西アフリカの人は、言いにくいことを「NO」とはっきり言いませんから。
しびれを切らした僕は、この会社の社長のところに押しかけて、「御社は、自分の業界の市場データもなく、商売してるんですか! 早くレポートくださいよ」と、青筋を立てて文句を言ったのでした。
そうすると、社長は、「ヨースケ君、私についてきてくれ」と言って、車に乗り込みました。どこに連れていかれるのかと半信半疑でいると、車はダカールでいちばん大きな青空市場に着きました。
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